• UseCase
  • 製造

栗田工業、屋外保管する製鉄原料の水分量をドローンで可視化する技術を日立との協創で開発

DIGITAL X 編集部
2023年2月3日

栗田工業が、製鉄所の屋外で保管する原料の水分量をドローンとAI(人工知能)技術を使って可視化・予測する技術の開発に日立製作所との協創で取り組んでいる。原料からの粉じんの飛散や生産性を左右する水分量を管理することで、コストやCO2排出量を削減するのが目的だ。2022年9月27日に発表した。

 粟田工業が開発するのは、製鉄所における原料の水分保有量を予測・可視化するための技術(図1)。原料管理の効率を高めるとともに、適切な原料改質技術の適用によるCO2排出量の削減などが目的だ。製鉄所の原料は屋外保管が一般的なため、降雨などによる水分上昇により搬送作業の効率が低下したり、逆に乾燥すると粉じんが飛散したりするほか、水分量によって燃焼効率が変化し製鉄の生産性も左右する。

図1:製鉄所では原料を屋外で保管するため天候によって作業性や燃焼効率などが左右される

 技術開発には、日立製作所との協創で取り組む。栗田工業が持つ原料改質に関する知見と、日立のドローン測量やAI(人工知能)解析技術を掛け合わせ、原料の水分量を測定したり、気象データと組み合わせて水分量の変動を予測したりできるようにする。

図2:栗田工業と日立製作所の協創の概要

 そのための日立との共創で、具体的には、(1)ドローンを用いて原料パイルの表層水分を可視化する技術、(2)オープンデータと連携した水分の変動の予測する技術の開発を進める(図2)。

 具体的には、ドローンに可視光センサーと水分センサーを搭載し、原料を空撮することで、原料の山である「パイル」の体積や表層の水分量に関するデータを取得する。取得したデータはクラウド基盤に蓄積し、気象データや原料データなどと組み合わせてAI技術で解析することで水分量の変動を予測する。

 予測値に応じて、粉じんの飛散防止のための散水計画や、設備点検箇所の選定、適切な原料改質技術の適用などにより、水分量の上昇・下降や燃焼設備への付着、さらには燃焼時のCO2排出量などを抑えられるようにする。

 原料のパイルは、水分量によっては崩れなどが発生するリスクがある。パイルの状態や在庫量は一般に現場作業員が目視で確認・記録しており業務負担が大きい。両社は今後、製鉄所の現場が必要とする技術や仕組みの開発と実証実験に取り組み、製鉄所向けサービスを強化するほか、他業種やグローバルへの展開も目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名栗田工業
業種製造
地域東京都中野区(本社)
課題製鉄所の原料が含む水分量に起因した粉塵飛散や設備での原料の詰まりの発生を防ぎたい
解決の仕組みセンサーを搭載したドローンで原料を空撮し水分量を測定したり、気象データなどと組み合わせて水分量の変化を予測し、適切な対策を打てるようにする
推進母体/体制栗田工業、日立製作所
活用しているデータ水分量データ、気象データ、原料データなど
採用している製品/サービス/技術ドローン、原料ヤード向け在庫管理システム(ともに日立製作所製)、
稼働時期--