全1132文字

 飛島建設は、寒冷期に少量の薬剤をコンクリートの表層に加えて凝結を促進する工法「T-CROW」を開発した。コンクリートを打ち込んだ後、上面の仕上げに着手するまでの待機時間を2~4時間短縮できる。

T-CROW工法のイメージ(出所:飛島建設)
T-CROW工法のイメージ(出所:飛島建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 T-CROW工法では、カルシウムアルミネートを主成分とした粉体の凝結促進剤と吐出量を調整できる散布機、コンクリートを練り混ぜるかくはん機を使う。散布機と凝結促進剤は市販のもの。かくはん機は新たに開発した専用の機械で、かくはんの深さを一定にするとともに、かくはん後のコンクリート上面を平らにするガイド板が付いている。

 工法の手順はシンプルだ。散布機でコンクリートの上面に凝結促進剤を1m2当たり200gほど均一に散布。その後、かくはん機でコンクリート表層の深さ30mmまで練り混ぜる。

凝結促進剤をかくはんしている様子。右下はT-CROW工法専用のかくはん機(写真:飛島建設)
凝結促進剤をかくはんしている様子。右下はT-CROW工法専用のかくはん機(写真:飛島建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 低温の環境下だとコンクリートの凝結進行が遅く、コンクリートを打設後、上面の仕上げ作業に着手できるまでの待機時間が長くなる。建設現場の作業員などの残業時間を減らす目的で、T-CROW工法を開発した。「コンクリートの上面仕上げは、打設の翌日に繰り越せない。寒冷期は、手持ち無沙汰でも残業を強いられることが珍しくなかった」。飛島建設技術研究所研究開発第三研究室の折田現太副主任はこう話す。