開館まで1週間…一乗谷朝倉氏遺跡博物館の中を拝見 約800点の常設資料、重要文化財もずらり

藍染め職人が使った大甕(手前)など、城下町の暮らしに関する資料が並ぶ基本展示室=9月24日、福井県福井市安波賀中島町の福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館

 福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(福井市)は9月24日、10月1日の開館を前に報道陣向けの内覧会を開いた。資料搬入を進めていた基本展示室の作業が終わり、約800点に及ぶ常設資料の全容があらわに。最新の温湿度管理設備を整え、朝倉将棋の駒など国指定重要文化財を多く並べた。当主5代、約100年にわたり栄えた戦国城下町の歴史ロマンを存分に味わえる。

 2階の基本展示室(広さ約560平方メートル)は、人々の暮らしや職人の活躍に焦点を当てている。藍染め職人「紺掻(こうかき)」が用いた直径90センチの大甕(おおがめ)、医師(くすし)が薬草をすりつぶすのに使った越前焼の臼などが並ぶ。町並みを再現したジオラマには職人の人形を配置。タッチパネルを操ると、ジオラマ内を散策している視点で屋敷に近づいたり、通りを進んだりでき、職人の会話も吹き出しとして現れる。学芸員は「資料だけでは伝わりにくい人々の息遣いを感じて」とアピールする。常設資料は県の収蔵品約160万点から厳選。国重文はうち約280点に上る。

 見どころは他にも多彩。5代当主朝倉義景の居館を原寸再現した「朝倉館」、川湊「一乗の入江」の一部を発掘したまま露出展示する「石敷遺構」などがある。朝倉氏の盛衰と発掘調査の歩みをまとめた映像もあり、子どもでも親しみやすい。福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館の清水邦夫館長は「全国に誇る中世都市遺跡の玄関口。一乗谷のファンを増やす流れをこの博物館から生み出したい」と話した。

© 株式会社福井新聞社