独に新鋭ピアノトリオがまた一組
2011年8月10日 (水)
ドイツ 新世代ピアノトリオの最前線へいざ!
全曲オリジナル・コンポジションによる注目の新録
ドイツの新世代ピアノトリオ・シーンの活況ぶりが続々と伝えられる2011年の盛夏。先日のブルー・ブレイク『Platform』に続いてご紹介するのは、ピアニストのステファン・ベッカー率いるトリオによる新録アルバム『First Day of Spring』。
まずは簡単にメンバー紹介を、といきたいのですが、ここで気になる名前をクレジットに発見。サウンド・エンジニアを務めている「クラウス・ゲヌイト」です。
ピンと来た方はなかなかの見巧者でいらっしゃる。何を隠そうこのクラウス・ゲヌイト、ニューエイジ、ジャズ、クラシックの分野を中心に、地元ドイツのハンザハウス・スタジオを根城にしながら活躍する、名レコーディング・エンジニアなのです。イギリスのアコースティック・ギター・デュオ、アコースティック・アルケミーの作品、あるいは、『Faces & Places』、『Brown Street』、『75: Last Birthday Live!』といった晩年のジョー・ザビヌル作品などでその名を見かけた方も多いのではないでしょうか。
ほか、メイシオ・パーカー『Roots & Grooves』、ランディ&マイケル・ブレッカー『Some Skunk Funk (Live At Leverkusener Jazztage 2003)』、ジェフ・カシワ『Simple Truth』、WDR ビッグバンド『Caribbean Night』などなど枚挙に暇なし。ごく最近でも、アブドゥーラ・イブラヒム(ダラー・ブランド)『Sotho Blue』や、ピィー・ウィー・エリス『Tenoration』、カルメン・クエスタ『Mi Bossa Nova』といったドイツ録音の話題作に軒並みクレジットされているのだから、その実力と信頼度の程は十二分に窺えるというもの。
そんな名匠クラウスが、自身のキャリアではめづらしく王道ピアノトリオ作品のエンジニアを務めているのが、この『First Day of Spring』になるわけなのです。クラウスの手練の音響マジックがどういった相乗効果を生んでいるのか? このあたりにも是非着目して聴いていただきたい1枚。
さて、本筋。整髪料に一切頼らないその髪容にも清々しさと誠実さを憶えるドイツ・ケルン在住の主役ピアニスト、ステファン・ベッカーは、年のころは30代半ば? オペラ歌手を生業にしていたおばあちゃんからの影響で、ジャズ・ピアノと並行して幼少期からクラシック・ピアノを演奏していたということもあり、そのテクニックは申し分なし。タッチやフレーズの端々にも天上的な薫りを漂わせる、実にムードのあるピアニスト。『First Day of Spring』の冒頭表題曲ではそんなクラシック仕込みの繊細で美しいピアニズムをたっぷりと味わうことができます。
『First Day of Spring』 収録曲
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さらに注目すべきはコンポーズの才。全9曲がオリジナル・コンポジションとなる今回、作曲能力の高さそのものに加えて、その引き出しの多さに驚かれる方も多いのではないでしょうか。リリカルな「First Day of Spring」から襷を受けた「The River」では一転、70年代CTI作品を聴いているかのようなグルーヴィなジャズ・ロッキン・スタイルに体を揺らし、続くワルツ調の「Paris 2002」ではなかなかエスプリの効いたフレーズが小気味よく弧を描いて往く、といった具合にバラエティ豊かな楽曲が円転自在に連なっていきます。そしてなにより人懐っこいメロディが心を捉えて離しません。バイオによるとなんでもリッチー・バイラークに師事していたそうで・・・そう言われると、硬質ながらクリアなタッチ、クラシカルな要素が随所に含まれたフレーズなどバイラークとの共通点もぽろぽろと。
ファンキーなテーマとジャズ・ロック系のビートが出会いがしらに衝突したかのような「Juicy Tune」や、欧州ならではの神秘的なメロディと荘厳な展開に息を呑む「Use Your Wings」などでは、クリストフ・フライアー(ds)とトーマス・デヴィエ(b)のリズム隊がダイナミック且つキビキビと律動を掌握。両者その技巧やイマジネーションは一級品。
2011年現在のステファン・ベッカー・トリオ |
ちなみにこのアルバムの録音後にはリズム隊を一新。トーマス・エシュ(ds)とヤコブ・カーネマン(b)という、これまた風采グッドでかなりフレッシュなヤング・ゲルマンを擁したトリオで活動を再開しているようです。但しそんじょそこいらの白面郎と侮るなかれ。ベースのヤコブは、同地の女性シンガー、ハンナ・コップをはじめ、新興レーベル Konnexの若手(つまり同年代)コンテンポラリー作品およびツアーなどにも数多く参加している猛者なのであります。またオフィシャル・サイトではこの新トリオによるここ最近のライブ映像などがアップされているので、そちらも併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。
誰が呼んだか、「ピアノトリオ=ノイエ・ドイチェ・ヴェレ」からまた一組。確実にその台風の目となる若衆ステファン・ベッカー・トリオ、大注目です。
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ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
ドイツ 新世代ピアノトリオの最前線へ
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