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2015年12月14日 (月)

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[小瀬村 晶 / AKIRA KOSEMURA]

85年生まれ、東京出身の作曲家・音楽プロデューサー。
07年「It's On Everything」でデビュー。同年、音楽レーベル「SCHOLE」を設立。
12年にコンテンポラリーバレエ公演「MANON」(演出/振付:キミホ・ハルバート)の音楽、14年に映画「最後の命」(監督:松本准平 主演:柳楽優弥)の音楽、15年にはミラノ万博(ミラノ国際博覧会)の日本館展示作品「ライブパフォーマンスシアター」(制作:ライゾマティクス)の音楽を担当。
やなぎなぎへの楽曲提供や、ファイナルファンタジー楽曲のリアレンジワーク、au 三太郎シリーズ、blendy 挽きたてカフェオレといった話題のCM音楽を手掛け、IKEA、NIKON Asia、KINFOLK、RADO Switzerlandなど国際企業とのコラボレーションも多数。
これまでに五枚のオリジナルアルバムを発表し、米国最重要音楽メディア「Pitchfork」、豪州最大規模の発行部数を誇る新聞紙「THE AGE」にてその才能を賞賛されるなど、国内外に活躍の場を広げている。




こんにちは。
早いもので今年最後のコラムです。

さて、前回のコラムで触れていた新しい作品ですが、もうリリースされています。
ちょうど東京での、作品のお披露目を兼ねたコンサートが終わり、ちょっとほっとしているいま、これを書いています。


今回の作品「For」は、フラワーアーティストの篠崎恵美さん、写真家の新田君彦さん、そして僕の三人が中心となって企画し制作した映像作品であり、さらに音楽CDと写真集を加えた、三つのプロダクトで表現されたコンセプチュアルなコラボレーション作品です。

なぜこういうものを作ったのかという経緯や、制作のプロセスについては、イベントやコンサートでお話ししているので、ここには書きません。
僕らがこの作品に込めた想いや、この作品を通じて表現しようとしたことについても、ここには書きません。

あなたの目と耳で、触れて、感じて、想像してほしい、そう思っています。


最近、音楽に限らずあらゆる分野で、イージーなものが増えている気がします。
分かり易く説明されて陳列された、コンビニエンスなものが多くて、受け手側が想像する必要もなく、ただ、それを享受する、そういった作品が多いのです。

もちろん、作った本人やメーカー側が、作品について語ることは悪いことではないと思います。一生懸命作ったのだから、その意図や想いを分かってほしい、そう思う気持ちも分かります。

けれど、一度立ち止まって、ふと、こう思うのです。

自分の想いを他人に伝えること、分かってもらうこと、はたしてそれが本当に自分の願いなのだろうか。それが作品を作り、発表する理由なのだろうか。


僕はそこに、なにか違和感を感じ得ざるを得ないのです。


音楽を聴くときに、あなたの心に広がる世界は、その想像力は、必ずあなただけのものであって、それは誰かに押しつけられるものであってはならないし、ましてや、あなたの想像力を奪うようなことがあってはならないと、僕は思います。


音楽を作るとき、僕は常に新しいインスピレーションを求めます。
けれども、そのインスピレーションというのは、あくまで僕だけのものです。


僕が作品を発表するときに願うのは、作品への理解ではなく、あなたにとっての、新しいインスピレーションになること、それなのかもしれません。


今回の作品「For」は、余白の多い作品です。


想像してみてください。
あなたにはなにが見えますか?



  http://www.akirakosemura.com/
  http://www.scholecultures.net/
  コンサート情報





Akira Kosemura 最新作

Akira Kosemura, Megumi Shinozaki & Kimihiko Nitta 『For』  [2015年11月25日 発売]

小瀬村晶 (作曲家)、篠崎恵美 (フラワーアーティスト)、新田君彦 (写真家) によるコラボレーション作品『For』を発表。

■ CD+DVD+Photobook(全64P)
■ 特製Box仕様



次回へ続く…。






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