父ヤルヴィの『マイスタージンガー』管弦楽版

2011年8月9日 (火)

ヤルヴィ＆ＳＮＯのワーグナー第４弾！
『マイスタージンガー』管弦楽抜粋版、ほか

最近はパーヴォもクリスチャンも大活躍のヤルヴィ一家ですが、レパートリーの広さ、演奏の迫力、膨大な録音量等、父親ネーメの存在感はまだまだ圧倒的。
　特にオーケストラが大編成となる作品における手腕の見事さはさすがで、これまでにも数々の素晴らしい演奏を聴かせてきました。
　今回のワーグナー『マイスタージンガー』からの聴きどころセレクションはそうしたヤルヴィの芸風にぴったりの作品で、編曲は、オランダ放送フィルの打楽器奏者でソリスト、作曲家としても活躍するヘンク・デ・フリーヘルが受け持っています。
　フリーヘルによるワーグナー・オペラのオーケストラ用編曲には、『マイスタージンガー』のほかに、『指環』『パルジファル』『トリスタン』などが存在しますが、ヤルヴィはこれらのうち、『指環』と『パルジファル』『トリスタン』についてはすでに録音しており、今回が４作目ということになります。
　フリーヘル編曲によるワーグナーは世評が高く、実際のコンサートでは、スヴェトラーノフや、シモノフ、ケント・ナガノ、ジンマンなども取り上げて好評を博しており、さらに、デ・ワールトによる録音も良い評価を獲得していました。
　ネーメ・ヤルヴィといえば、師ムラヴィンスキー譲りの巧みなオーケストラ・コントロールがまず注目されるところで、入念なリハーサルの果てにもたらされるその「鳴りの良さ」が、多くのオーケストラ・ファンの信頼を得てきました。
　オーケストレーションが音楽内容と密接に結びついたワーグナーの作品では、そうしたヤルヴィのスタイルはプラスに作用しており、作品本来の響きの表情の多彩さや、壮大なスケールでなり響くトゥッティの魅力も大きな聴きものとなっています。
　収録作品は、『マイスタージンガー』抜粋のほか、ワーグナー初期の作品から序曲『クリストファー・コロンブス』と『ファウス』序曲、『2つの悲劇的間奏曲』が収められています。（ＨＭＶ）

ワーグナー：オーケストラ版『マイスタージンガー』
ネーメ・ヤルヴィ＆スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

【収録情報】
・ワーグナー／フリーハー編：楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』〜オーケストラル・トリビュート
・ワーグナー：序曲『ファウスト』 WWV.59
・ワーグナー／フリーハー補完：2つの悲劇的間奏曲 WWV.25
・ワーグナー／モットル校訂：序曲『クリストファー・コロンブス』 WWV.37A

　ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
　ネーメ・ヤルヴィ（指揮）

　録音時期：2010年8月17-19日
　録音場所：グラスゴー、ロイヤル・コンサート・ホール
　録音方式：DSDレコーディング（セッション）
　SACD Hybrid
　CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND