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神経ブロック:足首
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適応

  • モートン神経腫の切除、足の母趾の手術、バニオン切除および切断、足の中央部の切断、中足骨骨切術、切開排膿手術、デブリードマン処置などの足および足趾の外科手術
  • 足と足関節の処置のための鎮痛法

  監修者註: 最近では、この種のブロックはエコーガイド下で行われるようになってきています。エコーガイド下で行えばブロックの成功率を高めることや、使用麻酔薬量の減量が期待できます。


禁忌

絶対的禁忌

  • 患者の拒否
  • 注射部位の感染

相対的禁忌

  • 凝固障害または全身抗凝固療法
  • 全身感染症


必要物品

  • 酸素、吸引、蘇生薬などの適切な蘇生装置
  • 滅菌タオル
  • 手術用消毒液
  • 適切な大きさのガーゼパッド
  • マーキングペン
  • 滅菌手袋とマスク
  • 局所麻酔薬を充填した10mL注射器3本
  • 25G針


解剖

足関節神経ブロックは、足関節から遠位部の知覚をつかさどる5つの神経をターゲットにしています。5つの神経とは、坐骨神経の4つの分枝(浅腓骨神経、深腓骨神経、腓腹神経、後脛骨神経)および大腿神経の皮枝(伏在神経)です。坐骨神経は、総腓骨神経と脛骨神経の2つの終枝を出しています。


総腓骨神経の深腓骨分枝は、脚部前面、前脛骨動脈の近位を下行します。
足関節のレベルでは、伸筋支帯の深さで脛骨表面近くを走行します。内側は長母趾伸筋の腱、外側は前脛骨動脈によってそれぞれ境界されています。深腓骨神経は、足の母趾の最初の趾間部の足根中足関節への知覚をつかさどります。また、他の趾の足根中足関節、中足趾節関節、趾節間関節への神経支配もつかさどります。

浅腓骨神経は、腓骨筋と長趾伸筋の間を遠位に走行し、長腓骨筋と短腓骨筋、および下肢の皮膚にも分枝を出しています。その後、外果の上で表層を通り、内側枝および外側枝へ分かれて終枝となります。浅腓骨神経は、母趾と示趾の間を除く、足背と足趾への知覚神経支配をつかさどります。


脛骨神経は、坐骨神経の2つの終枝のうちの大きな方です。
後脛骨神経と腓腹神経に分岐します。

後脛骨神経は、後脛側脈管とともに脚を下行します。足関節のレベルでは、踵骨と内果の間に位置します。屈筋支帯へと深部を通過し、内側および外側足底神経で終枝となり、足底、踵、伏在神経が支配する領域の下の足の内側へ知覚支配を提供します。また、長趾屈筋および長母趾屈筋への運動神経支配もつかさどります。同神経は、その走行に沿って、付随する血管に血管小枝を出し、足関節に関節枝を出しています。


腓腹神経は脛骨神経の第2の分枝です。
同神経には、連絡する支流である総腓骨神経が合流します。同神経は、腓腹筋頭の間を下行し、筋膜を貫通した後、外果の10cm上のアキレス腱の外側面に現れます。腓腹神経は、小伏在静脈とともに表面を走行し、外果の後方の皮下、果とアキレス腱の間に位置しています。同神経は、足の外側面、第4骨間隙、小趾への知覚供給をつかさどります。


伏在神経とは、大腿神経の皮枝の終枝です。
大伏在静脈とともに表層を走行し、終枝に分かれます。分枝の一部は足関節で終わりますが、他は足関節の前面を通過し、足の内側の皮膚、および第1中足趾節関節までの神経支配をつかさどります。

図1:足関節神経ブロックの基本的な必要物品
左から右に: 滅菌手袋、手術用消毒液、10 x 10cmガーゼ、局所麻酔薬(ガーゼの奥)、注射器、皮膚浸潤および麻酔薬注射用針
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表1 :足首の神経ブロックの局所麻酔
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図2:深腓骨神経:脚の前面を下行する総腓骨神経の分枝
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia: Churchi l Livingstone/Elsevier, 2008, p. 32
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図3:足関節の深腓骨神経
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s tlas of Anatomy.Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p. 334.
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図4:足背皮膚の神経支配
出典:Drake R, V gl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p. 334.
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図5:足関節の浅腓骨神経の走行経路
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p. 334.
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図6:脛骨神経の走行経路
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p. 322
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図7:脛骨神経の終枝
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p. 341.
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図8:足底皮膚の神経支配
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p. 341
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図9:腓腹神経
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s A las of Anatomy. Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p.
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図10:伏在神経
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al. Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia: Churchill Livingstone/Elsevier, 2008, p.
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手技後ケア
  • 外科処置でターニケットが必要な場合、適宜鎮静を行えば、足関節上ターニケットの使用は通常、忍容性が良好です。
  • 鎮痛/麻酔が不十分な場合、適切な神経を再ブロックするのが妥当です。
  • 外科医は処置中にブロックを追加できます。麻酔薬の全用量が推奨最大量〔リドカイン(キシロカイン®)で約300mg、ブピバカイン(マーカイン®)で175mg〕を超えないよう注意します。
  • 足に血行障害を来す血管収縮の危険があるため、麻酔薬はアドレナリンを含まないものを使用します。
      監修者註:アドレナリンの米国での名称はエピネフリンです。
  • 足関節神経ブロックの鎮痛効果は数時間持続することを患者に説明します: 補助や足への物理的保護なしの歩行は(感覚のない足の軟組織の損傷を避けるために)避けるように注意します。

 
合併症

  • 感染症
  • 血腫
  • 血管穿刺
  • 主に局所麻酔薬を直接血管に注射することによる局所麻酔薬中毒
  • 持続的な知覚異常(まれに足関節神経ブロック後数週間にわたる異常錯感覚の報告があります)1
  • 無感覚の脚を使用したことによる軟組織損傷

 

結果とエビデンス

  • 成功率は94~98%です。
  • 患者の満足度は約87%です。
  • 合併症の発生率は0.3%以下です。
  • ブロック注射後20分以内に手術を開始した場合、それ以上の時間をおいた場合より失敗率が高くなりました。
  • 足関節神経ブロックはまだ十分に活用されていないので、今後は臨床訓練を優先的に行うことが推奨されます。
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