クローズドな空間でも開放感を求めていく。ミライのクルマのテーマになるのかも。
4ドアタイプのクルマはフロントドアとリアドアのガラスの境目のとこに、一本筋の入った中央柱(センターピラー、Bピラー)が立っているのが一般的。しかしCES 2024で見た各社のコンセプトEVカーには、このBピラーがないものが目立ちました。
タマゴっぽいフォルムのメルセデスの次世代車載OS「MB.OS」搭載機のデモは、大型クーペさながらの長いドアが観音開きとなるスタイル。
LGの「LG able」はカスタムチョップドトップ・ステーションワゴンのスタイリング。開口部が大きいだけではなく、車内も広々としており居住性を重視したデモとなっていました。
BMWやソニー・ホンダモビリティに技術を提供しているクアルコムは、 デジタルコクピット「Snapdragon Cockpit Platform」を盛り込んだコンセプトカーを展示。リアドアは閉まっていますが、Bピラーがないことで後部座席に座っていても開放的な視界が得られることを印象付けています。
ベトナムのEVメーカーVinFastは、ワイルドな雰囲気のピックアップトラックコンセプトで、ピラーレスハードトップの印象を強めていました。
韓国KIAも、「Beyond Mobility」プラットフォームのアピールとして、ミニバンタイプのセンターピラーレス車を展示していましたが、これは日本の軽バンが採用してきたスタイルなので、車体が大きくなると、こういうイメージとなるのねという答え合わせができそう。
実は昭和時代に流行していたセンターピラーレス
ところでBピラーがない車両は、古き昭和の時代から存在していました。世界初のピラーレスハードトップ構造はアメリカのキャディラック・クーペ・ドゥビル(1949年~)が採用したと言われており、日本でも1965年のトヨペット・コロナハードトップ以降、アメリカンな車への憧れを表すかのようにトヨタも日産もホンダもダイハツも、さまざまなメーカーがBピラーを持たないクルマを作ってきました。
一例として、1982年式の日産プレーリーをご紹介しましょう。昭和57年という古い時代からフロントドアとスライドドアを両面につけて乗り降りが自由自在、 8人乗り3列シートでほぼフラットにもできるから車中泊もオッケーだったミニバンがあったんですね。
しかし側面からの衝突にあまりにも弱いということが明らかになっていき、90年代以降は2ドアクーペ以外では採用されなくなったロストテクノロジーだったんです。
2024年の現在、コンセプトカーとはいえBピラーを持たない4ドア車を多くのメーカーが展示していたというのは興味深い同一性じゃないですか。自動運転の発展によりドライバーも車内で自由に過ごせる時代を目前としたいま、クルマにリビングのような空間を求めながら、ピラーレスでも安全性を確保できるフレーム技術が生まれ育ってきているんじゃないかって感じてきますよね。