馬毛島自衛隊基地着工から半年 緑少なく、海には濁り…姿変える島をドローンで撮影

 2023/07/12 08:27
島の中央部には工事関係の車両や資材がずらりと並ぶ=10日午前(小型無人機で撮影)
島の中央部には工事関係の車両や資材がずらりと並ぶ=10日午前(小型無人機で撮影)
 鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備は12日で基地本体の着工から6カ月がたった。島東岸には多くの作業船が停泊し、約10キロ離れた対岸の種子島でも物々しさを感じさせる。10日、基地に変わりゆく島の姿を小型無人機ドローンで撮影した。

 馬毛島の玄関口の葉山港を挟むように、人員や資材の搬出入に欠かせない3本の仮設桟橋が形づくられていた。完成すれば基地建設は飛躍的に進む。内陸部はプレハブ仕立ての建物やタンクなどの資材がずらり。防衛施設を思わせる建造物はまだなく、車両が行き交う道があちこちに延び、巨大な物流拠点のようだ。

 昨年8月にも小型無人機で島を上空から撮った。当時に比べ、緑は明らかに減った。最高地(71メートル)の岳之腰から北に向けて造成した跡が広がる。滑走路予定地の一部で、かつてこの周辺で見られたマゲシカの群れは確認できなかった。一方、太平洋戦争中に使われたトーチカ(防御陣地)はまだ残っていた。

 港湾施設が造られる島南東部の海域は作業船が集中していた。海中の濁りが潮流に乗り、各船から白い帯のように延びる。防波堤などの基礎石(捨て石)を投入したのだろうか。一帯はトコブシの好漁場で、昨年まで6月になると多くの漁船でにぎわっていた。

 基地整備は最大6000人規模が投入され、さらに加速する。先人たちが暮らした在りし日の島の姿はもう戻らないことを実感した。