国際線の完全復活はいつ? 香港線再開に沸く空港の陰で…地上職員なお足りず 副知事「他県に負けないよう連携図る」

 2023/06/06 08:58
3年3カ月ぶりに再開した香港との国際定期便の出発口に並ぶ搭乗客=5日、霧島市の鹿児島空港国際線ターミナル
3年3カ月ぶりに再開した香港との国際定期便の出発口に並ぶ搭乗客=5日、霧島市の鹿児島空港国際線ターミナル
 鹿児島空港(鹿児島県霧島市)に5日、約3年3カ月ぶりに国際定期便が戻ってきた。県や県観光連盟は「観光や経済回復の追い風になる」と香港線再開を歓迎するが、受け入れに欠かせない空港の地上職員は足りないまま。ソウル、上海、台北と県が目指す新型コロナウイルス前にあった全路線の再開は視界不良だ。

 香港からの乗客に記念品を配った県観光連盟の倉野満専務理事は、運休が続いている他路線の再開の弾みになると期待する。「旅行会社や観光地と連携し、体験メニューや食のPRを進め、国内外のライバルとの差別化を図りたい」と訪日客獲得へ意気込む。

 鹿児島空港は海外からの玄関口となる国際線ターミナルビルを2020年に増改築。過去最多だった19年の41万人の1.5倍に当たる年60万人程度の受け入れが可能になった。鹿児島空港ビルディングの古薗宏明社長は「空港事業者一体となり安定的な運航に努める」と話す。

 施設面の体制が整った一方で、コロナ禍で運航業務に不可欠な職員が減ってしまった。空港の地上業務を担う南国交通(鹿児島市)の岩切俊一常務は「今回もどうにか間に合ったのが実情」と明かす。運航する香港エクスプレス職員の応援で再開にこぎ着けた。

 コロナ前の400人から一時320人にまで減った地上職員は現在は360人。さらに採用を進めるが、他空港も活動は盛んで苦戦しているという。空港ビルからの出向者も業務への習熟訓練が必要で時間がかかる。岩切常務は「定期便再開は鹿児島にとって明るい材料。勢いを減速させないよう採用や育成を加速させる」と話す。

 熊本県では、半導体世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の進出もあってビジネス需要が拡大、台湾の航空会社が台北線の定期便就航を発表するなど、各空港で国際線再開の動きは活発化している。

 鹿児島県もコロナ前の4路線に加え、それ以上の路線拡大を模索する。藤本徳昭副知事は「まずは足元を固める必要がある。地上職員獲得を含め、他県に負けないよう関係機関と連携を図りたい」と力を込めた。