日本初、月面着陸へ…小型探査機「スリム」を種子島で公開 8月以降打ち上げへ

 2023/06/05 08:16
JAXAが公開した小型月面探査機「SLIM(スリム)」=4日、南種子町の種子島宇宙センター
JAXAが公開した小型月面探査機「SLIM(スリム)」=4日、南種子町の種子島宇宙センター
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日、月面の狙った場所にピンポイントで着陸する技術を実証する小型月面探査機「SLIM(スリム)」を、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで報道陣に公開した。8月以降に同センターから打ち上げ予定のH2Aロケット47号機に搭載する。

 スリムは高さ2.4メートル、縦1.7メートル、横2.7メートル。重さは推進薬なしで200キロ、打ち上げ時は700~730キロ。月の赤道付近にあるクレーター周辺への着陸を目指す。

 側面に設置した月面撮影用カメラの画像から目的のクレーターを識別し、事前に入力された月の地図情報と照合。自身の位置を修正し、誤差100メートル以内の着陸を狙う。従来の月着陸の精度は数キロ~十数キロとされていた。

 打ち上げから3~4カ月後に月周回軌道に到着し、同4~6カ月後の着陸を見込む。成功すれば日本として初めて。着陸後は月のカンラン石の成分を分析する予定。JAXAの坂井真一郎プロジェクトマネジャーは「今回の技術は月に限らず、火星衛星探査などにも継承されていくだろう」と話した。

 スリムを搭載するH2Aロケット47号機は当初5月ごろに打ち上げる予定だったが、3月に新型主力機H3ロケット1号機が失敗した影響で延期された。