国内では2015年に発売されたアクションRPG、『ロード オブ ザ フォールン』。先週行われたGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)会期中にそのリブート版の最新デモを見てきたので、その内容をお伝えしよう。

 本作の対応プラットフォームはプレイステーション5/Xbox Series X|S/PCで、2023年中に発売予定。日本語にもテキストで対応するとのこと。

なぜ2作目でいきなりリブートなのか? 新作の柱となる3つの大きな違い

 シリーズとしては第2作にも関わらず、早くも前作と同名のリブート(仕切り直し)作となっている本作。また開発も前作のDeck 13(後にSFスタイルのアクションRPG『The Surge』シリーズなどを手掛けた)からパブリッシャーであるCI Games傘下のHEXWORKSへと変わっている。

 HEXWORKSのクリエイティブディレクターによると、前作を検証する中でスタイルを大きく変更することになり、“2”ではなく思い切ってリブートという形にすることを決断したのだという。キーとなる違いは大きく3つある。

1. 表裏一体に存在する“生者の世界”と“死者の世界”を行き来するゲームプレイ

 まずは生者の世界“アクシオム”と死者の世界“アンブラル”という、表裏一体の世界を行き来するゲームプレイだ。この二重構造は謎解き要素でもあり、いわゆるソウルズライクなアクションRPGとしてのキャラの“死亡”にも関わるユニークなシステムとなっている。

 本作が使用するゲームエンジンUnreal Engine 5についての新情報が明かされた講演“State of Unreal”で紹介された本作の技術動画を見た人もいるかもしれない。あの動画でランタンを掲げた時に照らされて見えた薄紫の世界、あれがアンブラルだ。

Lords of the Fallen

 では実際どう機能するのか? 謎解きでのケースを紹介しよう。アクシオムでの通常プレイ時、プレイヤーはその先の道がなくなっていたり、そのままでは仕掛けが動作しないといったようなことに遭遇する。

 そういった時にきっかけになりうるのがアンブラルだ。ランタンを掲げると、照らされた場所でアンブラルでの現実が具現化する。そしてアンブラルでは、アクシオム側にないものが通っていて先に行けたり、逆にアクシオム側に存在するプレイヤーを遮る柵が存在しなかったりする。

 そうやってアンブラルでしかアプローチできないルートを通ったり、アンブラル側での仕掛けなどをクリアーすることで、アクシオム側でも先に進めるという寸法だ。

Lords of the Fallen
腰につけているのがランタン。照らすことで部分的にアンブラルの世界を具現化できる。

 だがそれだけではない。プレイヤーはアクシオムでやられると、フルにアンブラルの層に入り込んでしまう。アンブラルでやられるとおしまいで今度こそ死亡扱いとなるので、注意して行動し、稀に存在するアクシオムへの復帰点となっている存在までたどり着かないといけない。

 一方で、自らアンブラルに移行する事も可能。アンブラルでしか行けないエリアのボスなども存在する上に、ランタンを使っているとアクシオム側にはいない亡者が敵として出現したりもするので、その方が有利なこともあるのだ。

2. 自分のキャラクターをクリエイト可能に。協力・侵入プレイも存在

 もうひとつの違いは、前作では主人公キャラ“ハーキン”を育てていく形だったのに対し、今作ではオリジナルキャラをクリエイトする形になっていること。これは前作プレイヤーからの要望も多かった部分だとか。

 これは技術動画でも触れられていた部分だが、体型などの違いに合わせてアーマーの形状も変化するという作りになっている。

 今回のデモではビルドなどの詳細までは明かされなかったが、武器なしの素手の戦闘も重視されており、クリエイティブディレクターの個人的な好みのスタイルは「トニー・ジャー(※タイのアクション俳優)みたいな格闘スタイル」だそうで、アクションの中にはドロップキックなども存在するらしい。

 また固定の主人公キャラがいなくなったこともあってか、本作はシングルプレイのみではなく、協力プレイに対応していたりもする。もちろん侵入プレイ要素にも対応するそうなので注意しなければいけないが、現状の仕様では侵入アリにするかはオプションとのこと。

Lords of the Fallen
協力プレイに対応。いわゆる“侵入”要素もあるそうだが、現状ではオプションとして完全にオフにもできる方向で調整中(常時オンにする可能性もまだあるらしい)。

3. チェックポイントを任意に置けるシステム

 もうひとつのユニークな点は、『ダークソウル』における篝火や『エルデンリング』における祝福にあたるチェックポイント(レベルアップなどを行ったり、やられた時に再スタートできる場所)を自分で設置できること。

 チェックポイント設置には特殊な種アイテムを必要とするほか、一度にひとつしか有効にできず、また敵に発見されると破壊される可能性があるため、設置場所はよく考えて行わないといけない。

 またゲーム側で設定されているチェックポイントも存在するが、任意に設置出来る分、その間隔は開いているそうなので、マップをある程度把握した上でアンブラルによるショートカットなども考慮して設置するのがいいとか。

 クリアー後のニューゲーム+(2周目)モードでは任意設置のチェックポイントだけでプレイすることになるらしく、かなり重要視している要素なのがうかがえる。

 ちなみにワールドのサイズは前作の5倍相当としている。またフルのオープンワールド構造ではなく、ところどころ行き来が制限されている“セミオープンワールド”と考えているとのこと。

戦闘システムも気になる

 今回は開発者が操作するPC版デモを見ながらプレゼンを受ける形の取材だったのだが、アクシオムとアンブラルの二重構造の世界を冒険するのは面白そう。ランタンを掲げると一見何もなかった所に変化が現れたり敵が見えたりするのは探索心をくすぐられるし、ビジュアル的にもなかなかいい感じだった。

 戦闘システムはコントローラーを握って触れてみないと判断が難しいが、近接攻撃と魔法攻撃の割り当てをボタン1個でスムーズに切り替えられたり(いわく「ジェダイのように剣を振って能力を使ってまた流れるように剣に戻るようにしたい」)、連続攻撃時にちゃんと左→右→左といったように武器を振った方向を考慮してコンボを繋いでくれたり、結構こだわっている印象。『ダークソウル』系の単なるフォロワーではなくオリジナルの体験を生み出したいという熱意は伝わってきたので、ぜひ実際にプレイしてみたいところだ。