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 トヨタ自動車と豊田合成は、展示会「第19回 FC EXPO【春】」(東京ビッグサイト、2023年3月15~17日)に燃料電池(FC)トラック向けの水素タンクを出展した(図1)。豊田合成が同月3日に市場投入を発表した製品で、トヨタが主導する商用車の技術連合Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)の小型FCトラックに採用された。

図1 豊田合成が開発したFCトラック向け水素タンク
図1 豊田合成が開発したFCトラック向け水素タンク
バルブを含まない水素タンクの寸法は、直径486×長さ2060mmで、容積は230Lである。タンクの質量は136kgで、使用圧力の公称値は70MPa。水素の搭載量は9.4kgである。水素タンクの仕様は搭載車両などの用途に合わせて7種類以上ある。展示品とCJPTの採用品は長さが近いが、異なる仕様である。(写真:日経Automotive)
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 特徴は、乗用車の燃料電池車(FCV)向けに豊田合成が生産する従来品に比べ、より多くの水素を充填(じゅうてん)できることだ。同社はトヨタのFCV「MIRAI(ミライ)」(2代目)向けの水素タンクを生産している(図2)。CJPTが採用した水素タンクは、ミライ向けの約8倍の水素を充填できるとする。比較対象はミライが搭載する3本の水素タンクのうち、最も水素の搭載量が少ないものとみられる。

図2 ミライの水素タンクのイメージ
図2 ミライの水素タンクのイメージ
写真はミライが搭載する3本の水素タンクのうち、最も水素の搭載量が多いものとみられる。バルブを含めた水素タンクシステム全体の寸法は、直径299×長さ1533mm。使用圧力の公称値は70MPaで、水素の搭載量は2.6kgである。(出所:トヨタの出展ブースの動画を日経Automotiveが撮影)
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 ミライの水素タンクの開発で培った技術を応用し、水素の貯蔵性能も高めた。タンク質量に対する水素貯蔵質量の割合(質量効率)は、ミライ向けが6.0wt%だったのに対して、今回のFCトラック向けでは7.0wt%に向上した。