コメディアンでポッドキャスターのエム・ルシアーノがいま取り組んでいるのは、不必要な恥を捨てること。彼女が長年「欠点やパーソナリティ上の欠陥」と思い込んでいたことは、実際のところ、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と自閉症のサインだった。オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

下着メーカー『Boody』のアンバサダーを務めるエムは、オーストラリア版ウィメンズヘルスのポッドキャスト『Uninterrupted』の中で、自分がニューロダイバージェント(神経の機能が一般的に“普通”とされる状態とは違うことで、日本では“神経の多様性”とも言われる)であることに“まだ適応している最中”と語った。

ADHDおよび自閉症の「診断には大きなショックを受けました。私はずっと、ズケズケと物を言う不愛想で扇動的な人と言われてきました。不公平なことが嫌いで、その感情を心の中にとどめておくことができないんです。それをすべて自分の欠点、さらにはパーソナリティ上の欠陥と思い込み、心から恥じてきました。でも、実際は私の脳が、そういう配線になっているだけのことでした。目の見えない人に見ろと言っても見えないのと同じで、私の脳は変えられません。自分が自閉症であるという事実は変えられませんし、変えたいとも思いません。私は自分のパーソナリティに対する恥を捨て去ろうとしています」

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もちろん、診断を受けた日から急に人生が楽になったわけではなく、この診断を「注目を浴びるためのでっち上げ」と非難するコメディアンまで現れた。でも、エムは、成人女性の診断が遅れやすい本当の理由を知っている。

「多くの女性、特に私と同年代の女性がスルーされてしまうのは、男性の症状が診断の基準になっているからです。実際、ニューロダイバーシティに関する事例は男性のものばかりで、映画『レインマン』のダスティン・ホフマンみたいじゃないと永遠に自閉症の診断が受けられない。だから、自閉症の女性は本当の自分を隠し、他の人を観察して人間らしく振る舞おうとするんです」

「女性が見せるADHDと自閉症の症状は(男性の症状と)大きく違い、精神科医の中には、それを自閉症の症状として受け入れない人もいます。だから、男性が見せる症状をベースに診断を下す時代遅れの精神科医にあたった場合は本当に運頼み。ニューロダイバージェントの診断が運任せなんて、本当にひどい話です」

「でも、ADHDの診断プロセスが変わったことで、正確に診断される女の子や女性の数が増えてきました。これはよい傾向です。それでニューロダイバージェントがトレンド化したり注目を浴びたりするからではなく、ニューロダイバージェントに関する情報が増えるからです。女性が見せる症状に対する専門家の理解も進みます」

エマによると、生理についてはオープンで率直な対話を続けることが大切。

「私たちはみな生理を妙に恥ずかしがります。そうやって育てられたから仕方のないことですが。だから私は、女性の恥を拭い去るような会話に片っ端から加わるようにしています。そういった活動には、いつも引き寄せられますね」

エマが下着メーカー『Boody』の「Do Less」キャンペーンに参加したのも、まさにこの理由から。生理中はスローダウンして、やることを減らそう(Do Less)というのが、このキャンペーンのメッセージ。

「私にとって、生理中にやることを減らすのはメンタルヘルスケアの一部です。私は3人の子どもを育てながらフルタイムの仕事をしているので、やることを減らすと言うより、ところどころで楽をすると言ったほうが適切かもしれません。コーヒーを歩きながらではなく座って飲むとか、ベッドメイクをあとにするといった感じです」

「以前は生理で疲れていても、自分に無理をさせていました。現代の社会では、それがよしとされていますから。出生時に女性のラベルを割り当てられた人は、無理をしてでも前に進み続けます。『タンポンつけて行ってきな』といった感じで、お互いに容赦しません。でも、いまの私は遠慮なく座ります。生理が重いことを家族に伝えて座り、何かやるべきことがあっても『いまじゃなきゃダメなこと?』と自分に聞くようにしています」

「生理中も頑張るのが当たり前だった人にとって、頑張るのをやめるのは難しいことですし、巷では生理中であることが弱点のように言われます。でも、生理はすごいだけでなく、体にとって大仕事であることを認識しましょう」

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Lizza Gebilagin Translation: Ai Igamoto