Wed 230301 接種5回目/コロナの日々/半疑問形をどうにかしたい/にらみ鯛 4329回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 230301 接種5回目/コロナの日々/半疑問形をどうにかしたい/にらみ鯛 4329回

 2月の下旬にはあまりお仕事がなかったから、出張の連続を言い訳にしばらく怠けていた病院通いを再開した。

 

 2月20日には東京歯科大学 水道橋病院に出かけて、長らく懸案になっていた右下の親知らずを抜歯。「このまま親知らずを放置すると、隣やそのまた隣の歯に悪さをします」と、通いつけの歯科医がおっしゃるので、「まあそんなものかねえ」と、半信半疑で大学病院に向かった。

 

 担当の歯科医師はずいぶん心配して「明日までは相当な痛みがあるかもしれません」「ロキソニン6錠お出しします」「明日明後日と、ちょっと口が開けにくくなるかもしれません」とおっしゃったが、何しろ鉄人イマイ、「抜歯ぐらいでロキソニンなんかに頼っていられるか」と、知らんぷりを決め込んだ。

(大阪・国立文楽劇場のエントランスに飾られた「にらみ鯛」。詳細は、本日の記事のラストをご覧ください 1)

 

 翌2月21日の今井君は、颯爽と眼科の「都内屈指の名医」を訪ね、親知らずを抜いた痛みなんか完全に無視しきって、網膜剥離手術の2ヶ月後検診を受けた。順調も順調、剥げかかった網膜どんはしっかりと眼底にくっついて、もうビクともしない。3月からはいよいよヒコーキに乗ってもOKになった。

 

 2月27日のワタクシは、今度は都庁に姿を現した。コロナワクチン5回目(オミクロン対応)の接種を受けに行ったのであるが、何しろ東京都庁本庁舎は初めての経験、それなりに緊張した。大むかしパスポート更新を受けに行ったことはあるが、あれはあくまで薄暗いパスポートセンターだった。

 

 ワクチン接種会場には、もう2年前の熱気は感じられない。一昨年8月27日、スガ首相の「ワクツンを」「ワクツンを」の懸命な涙の訴えにワタクスもついホロリときて、渋谷NHK放送センター横の会場に1回目の接種を受けに出かけたのだったが、昨年の3回目と4回目、そして今回が5回目、あの夏の熱気は急速に冷めていった。

(大阪・国立文楽劇場のエントランスに飾られた「にらみ鯛」。詳細は、本日の記事のラストをご覧ください 2)

 

 思えば3年前、あるいは2年前、テレビではいろんな評論家さんやタレントさんが、大きく身を乗り出してそれぞれの持論を展開なさっていた。

 

 中でも優勢だったのは「先手&先手と言ってる政府の対策がぁ、どれもこれもぉ、みんな後手&後手になっちゃっててぇ …」という批判というか皮肉というか、後はだいたい「政治家がァ、もっとォ、強いィ、リーダーシップをォ、発揮してェ」という金切り声の発言ばかりだった。

 

 ワタクシは、ピンチに立った時の金切り声があんまり好きではないので、あの「もっとォ、強いィ、リーダーシップをォ、発揮してェ」が聞こえてくるたびに、苦笑しながらチャンネルをかえつづけた。

 

 まあその辺は好き嫌いの問題だから致し方ないが、この3年「政治家が強いリーダーシップを発揮」したのがどのような国々であったか、具体的に国名を列挙すれば、ワタクシの苦笑も理解してもらえると思う。

 

 国名ではなくて、人名でもいい。強いリーダーシップを発揮するマッチョでムキムキなリーダーが出現し、国民がこぞってムキムキどんに歓声をおくりたくなるのがどんなに危ないか、20世紀の歴史を振り返れば誰でも分かる。

(大阪・国立文楽劇場のエントランスに飾られた「にらみ鯛」。詳細は、本日の記事のラストをご覧ください 3)


 すでに1/5が経過した21世紀の歴史と現況をしっかり眺めるに、「もっとォ、強いィ、リーダーシップをォ」という金切り声をどう抑制するか、そこんトコロがすげー大事なんじゃあるまいか。

 

 むしろこの3年、ヨレヨレでゴテ&ゴテで、何だかちっとも前進しないように見える日本政府って、実は結果的にいわゆる「後の先」、それなりに高く評価してあげていいように思う。

 

「他の先進国の多くは、ワクチンだってサッサと確保して、早期に防疫体制を確立したのに、日本はワクチン入手にさえ手間どった」「ホントにダメな政府だ」という「国民の嘆きの声」なんてのもあった。

 

 しかし諸君、これもこのブログで何回か書いてきたことだが、「先進国がサッサとワクチンを確保」という行動が、結果として途上国のワクチン確保を極めて困難にしたのもまた事実だ。

 

 1970年代から1980年代には「第3世界問題」「南北問題」が顕在化したが、2020年代の第3世界は「グローバルサウス」と名前も新しくかわった。

 

 今回のコロナの世界で、大量のワクチンを「サッサと確保」した先進諸国の「us first attitude」を、マコトに厳しい目で見つめていたんじゃないか。us と書いて「アス」と読めば「われわれ」、「ユーエス」と読めばアメリカ、まあそういうことである。

(大阪・国立文楽劇場、舞台上で2尾のにらみ鯛がにらみあう。真ん中の額は、ウサギ年の「卯」の文字を、ホンモノのうさぎ風にデザインしたらしい)

 

 今や日本中の観光地には世界中の人々がワンサと訪れ、コロナ騒動なんかなかったような大混雑が始まっている。

 

 京都や大阪のホテルの宿泊代は高騰し、昨年は1泊3万円だったホテルが、平気で「1泊8万」「12万」「15万」と、シコタマ高飛車な値段設定をしている。昨日見ていたホテルサイトでは「1泊85万」などという常軌を逸したものも2軒発見。出張もおちおち出来ない状況だ。

 

 3日前のワタクシは博多に出張があって、もちろんその詳細は(遠い)将来ここに記すことにするが、何より驚いたのはすでに「狂乱」という言葉に値する博多の大混雑。中洲の屋台が並ぶあたりとか、博多駅コンコースなんかは、歩行者が前に進めないほどの大渋滞が復活していた。

 

 もちろん、経済の復活はマコトにおめでたい。しかしその急激な復活を冷静に眺めながら、この3年のコロナの世界を、それこそ大活躍だった「専門家」の皆様や、悲しい金切り声をあげ続けたマスメディアや評論家の方々に、しっかりと検証していただきたいのである。

 

 まあ諸君、1年半前の2021年夏、デルタ株の大ピンチの真っただ中に、ワタクシがごくごく冷静に情勢を描いた記事「古女房シリーズ」3本をここに貼り付けておく。あの頃を思い出しながら、是非いろんなことを考えてみてほしいのだ。

 

Wed 210915 お久しぶりです/ダンナと古女房の苦闘/巨刹「習毛寺」と「遠山堂」4096回

Fri 210917 古女房のメンテナンス奮戦記/後藤旅行社の蹉跌/δバチの泥沼へ 4097回

Tue 210921 古女房シリーズ最終回/δバチはリキッドタイプ/乗り切って花道 4098回

 

(大阪、国立文楽劇場、1月23日。お客の入りが悪いのが心配だ。4月の第2部「妹山背山の段」は、「人形浄瑠璃の華」とも言える名舞台。若い諸君もぜひ劇場に足を運びたまえ)

 

 そしてこれはあくまでオマケであるが、この3年で日本人の物の言い方が、大きく変化してしまったことも書いておきたい。それは「いかにも自信なさげな、【半疑問形】の跋扈」であり、常に誰か周囲の人々の同意や頷きを求めながら話す人々の急増である。

 

 【半疑問形】とは、文節ないし単語ごとに語尾を微妙に上げ、聞き手の同意を促すイントネーションのこと。さっきの「もっとォ、強いィ、リーダーシップをォ、発揮してェ」みたいなのも、今やほぼ文節ごとに語尾が上がる。

 

「もっと⤴︎、強い⤴︎、リーダーシップを⤴︎、発揮⤴︎して ...」

であるが、最近は文節どころか単語ごとに語尾を上げる人さえ多く存在する。

 

 料理番組なんかでも「フライパンでオリーブオイルを熱したら︎、水︎を切って︎おいた刻み︎キャベツ︎を一気に炒めていきます」という程度のセリフを、爽やかに一息に言える人は極めて少ない。

 

「フライパンで⤴︎ オリーブオイル⤴︎ を熱したら⤴︎、水⤴︎ を切って⤴︎ おいた⤴︎ 刻み⤴︎ キャベツ⤴︎ を一気に⤴︎ 炒めて⤴ ︎いきまあす」というわけであるが、これは「周囲の聞き手たちが一言一言に熱く同意してくれるのを確認したい」ないし「確認しつつでなければ自信を持って話せない」、そういう気弱さの表出である。

(4月「妹山背山の段」には、呂太夫・呂勢太夫・織太夫・錣太夫の4人が勢揃いする。何が何でも観にいきたまえ)

 

 むかしむかしの民謡なんかでも、主となる歌い手の歌の間に「はい」「はいはい」「こりゃさ」「ほいな」「それからどした?」の類いの合いの手を入れたものだが、【半疑問形】を連発する人々は、間違いなくその種の合いの手の存在を求めているのである。

 

「もっと⤴︎(はい)︎、強い⤴︎(はい)、リーダーシップを⤴︎(はいはい)、発揮⤴︎ して (それからどした?)」

 

「フライパンで⤴︎(うん) オリーブオイル⤴︎(うん)を熱したら⤴︎(うんうん)、水⤴︎(ホイ) を切って⤴︎(ハイーッハイ) おいた⤴︎(ほいな) 刻み⤴︎(どん)(どん) キャベツ⤴︎(どどんがどん) を一気に⤴︎(こりゃさ) 炒めて⤴(ちょいな) ︎いきまあす(こりゃよかったね)」

 

 まあこういう感覚だろう。自信をもって一息に発言できない人々の増加こそ、この3年のコロナの世界が日本に与えた最も深刻な影響の1つかも知れないと思うほどである。

(1月23日、文楽の後は、ふぐ。心斎橋から徒歩10分、長堀端から徒歩1分、「とらふぐ城」は予想以上の名店だった 1)

 

 さて今日の写真は、全て1月23日の大阪でのもの。前半4枚は大阪・国立文楽劇場に飾られていた「にらみ鯛」である。

 

 にらみ鯛とは、大阪や京都で正月三が日に食卓に出る、尾頭つきの鯛の焼き物のこと。三が日の間は箸をつけず、人々はみんなニラむだけで我慢することから「にらみ鯛」の名がついた(らしい)。1月4日になってやっと、温められたり料理し直されたりして、口に運ぶことが許される。

 

 もちろんそれだと鯛が腐ってしまうから、まず内臓とウロコを取り除き、胴には数本の飾り包丁を入れてから、特にヒレやシッポに多めに塩をまぶす。だから1月4日、食卓に供される時にはもちろん塩焼きになる。

(1月23日、文楽の後は、ふぐ。心斎橋から徒歩10分、長堀端から徒歩1分、「とらふぐ城」は予想以上の名店だった 2)

 

 大阪の国立文楽劇場には、すぐ近くの黒門市場から、マコトに見事な鯛が2尾運ばれて劇場の正面玄関を飾る。今井君はもう10年以上にわたって、このおめでたいにらみ鯛を生で(塩漬けで)目撃してきた。

 

 いやはや1月3日の初春公演初日から、ワタクシが大阪に出向いた1月23日まで、すでに20日も経過しているが、よほど塩が効いているのか、はたまた今井なんかの知らない秘密のテクニックがあるのか、鯛はちっとも傷んでいない。

 

 正面玄関はホンモノの鯛が2尾だけれども、舞台の真上にも張り子の鯛が2尾、向き合って飾られて互いに睨み合っている。写真だと小さく見えるが、これでも1尾3メートル、15キロの重さがある(とのこと)。

 

 ワタクシはてっきり「睨み合っているから、にらみ鯛」と思っていたが、にらみ鯛の名称には、以上のような近畿独特の奥ゆかしい歴史と伝統があるらしい。

(1月23日、宿泊していたのは京都。「とらふぐ城」から新大阪駅へ、最終の「はるか」に乗り換え、外国人観光客の皆様と京都までご一緒した)

 

1E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE

2E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’

3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3

4E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3

5E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3

total m5 y122  dd28072