よみがえる63年前の音色♪ ヤマハ「エレクトーンD―1」修復 浜松市楽器博物館

 浜松市楽器博物館は6日、半年余りにわたって修復作業を進めてきた所蔵品の電子オルガン「エレクトーンD―1」をお披露目した。1959年に日本楽器製造(現ヤマハ)が開発した製品で、ヤマハ電子楽器事業部の技術陣に修復を依頼していた。60年以上前の素朴な音色がよみがえった。

修復されたヤマハのエレクトーンD-1を弾く浜松学芸高の生徒=浜松市中区の浜松市楽器博物館
修復されたヤマハのエレクトーンD-1を弾く浜松学芸高の生徒=浜松市中区の浜松市楽器博物館

 D―1は大卒の初任給が1万6千円だった時代に、35万円で販売されていた。メインアンプ以外はすべてトランジスタを使用するなど斬新なアイデアを取り入れ、電子楽器の先駆けとなった。開発者で浜松市東区の富沢祀夫さん(89)は「電子楽器は自然楽器の物まね。どうしたら近づけるのかを考えていた」と振り返った。
 修復作業は3月から始まり、ヤマハの4人が本来の仕事の傍ら、週に3時間ほど行ってきた。田之上裕さん(40)は「分解は慎重に行った。D―1のトランジスタ全281個のうち、壊れているのは6個だけだったのには驚いた」と話した。
 この日、修復を終えたD―1を実際に弾いた浜松学芸高1年の清野世羅さんは「今のエレクトーンと感覚は似ているけど、音が昔っぽくて良かった」と印象を語った。
 (浜松総局・大山雄一郎)

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