8月の米求人111万件減、20年4月以来の落ち込み
【ワシントン=赤木俊介】米労働省が4日発表した8月の雇用動態調査(JOLTS)によると非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は1005万3000件だった。6万9000件下方修正された前月から111万7000件減り、新型コロナウイルスの感染が広がった2020年4月以来の大きさとなった。求人件数はなお高水準だが減速の兆しがある。
8月の求人件数は市場予測(1110万件)を下回った。医療・福祉サービスが23万6000件、小売業が14万3000件それぞれ減った。
求人件数は3月に1185万5000件のピークを迎えた後、3カ月連続で減少していた。7月に増加したものの、再び減少に転じた。9カ月ぶりに1100万件台を割り込んだ。
一方、8月の失業者は601万4000人だった。失業者数1人に対して約1.7倍の求人がある計算だ。同比率は7月の約2倍から低下した。採用数は627万7000件と前月から3万9000件増えた。
米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制のため利上げを急いでいる。FRBのパウエル議長は求人件数の動向も注視しており、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で労働市場が「バランスを欠いている」と指摘した。金融引き締めは「道半ばだ」と説明し、さらなる利上げの可能性を示した。