カンザス州の有権者は現地時間2022年8月2日(火)、「中絶の権利は守られるべきだ」という強いメッセージを発しました。そうして中絶反対運動と深いつながりのある保守派の州において、共和党が支配する立法府が中絶の制限を強化したり、中絶手術を全面的に禁止することを許してしまう法案を否決しました。つまり簡単に言えば、中絶の選択を尊重する「プロ・チョイス」派が勝利したというわけです。推計によると、保守的な同州の有権者の60%以上が、「州憲法で女性の中絶権を認めるべきだ」としたそうです。

「これは、2022年6月に連邦最高裁が中絶の憲法上の権利を覆す判決を下して以来、有権者の意志が初めて数字となって表れたものであり、今後の(2022年11月8日に予定する)中間選挙に多大な影響を与えるものとして宗教右派や共和党にとって予想外の結果をもたらした」と、「Midland Daily News」は現地時間8月2日(火)夜に更新した「AP通信」の記事で伝えています。

カンザス州において通常は、共和党に有利と言われる8月の投票(※)ですが、中絶権擁護派がこれに勝利したことは大きな意味を持っていることになります。ほとんどの票が集計された段階で中絶権擁護派は、およそ20%ポイントの差をつけて優勢でした。この投票率に関しては、秋の知事選もこの数字となる予想も立てられています。

※8月の選挙は通常投票率は低くなる傾向にあり、カンザスでは登録済みの共和党員は登録済みの民主党員を数ではるかに上回っているため、無党派層の投票が減る分州内の選挙では競争力のある共和党員が有利になるため。

この投票はまた、2022年11月8日の中間選挙に向けて共和党保守派が躍進するのではないかという暗い予測もある中で、全国の民主党員たちによっての希望の光になっているようです。

ジョー・バイデン大統領は声明の中で、「この投票は、われわれがわかっていることをさらにはっきりさせてくれました。アメリカの大多数の人々は女性が自身の妊娠中絶にアクセスでき、『自分自身の健康について決定する権利を持つべきだ』ということに同意している」と語り、続いて連邦法に「ロー判決(1973年に中絶を禁止する国内法を憲法違反だとした最高裁判決)の保護を復活させる」よう議会に呼びかけた後、「アメリカ国民は妊娠中絶を含む女性の健康管理の権利を守るために、声を上げ続けなければならない」と付け加えました。

中絶権を住民に問う全米で最初の州民投票は、1973年の最高裁判決を祝い、ほぼ半数の州で妊娠中絶禁止またはそれに近い措置を行うよう、急いで法改正を進めようとしていた共和党に警告を与えるものにもなっています。