アメリカのバイデン政権は、全米各地に50万基に及ぶEV(電気自動車)用充電ステーションを新設する計画を打ち出していますが、その実現に向けた新たな基準案を公表しました。その基準案の大きな目的は、EVの充電プロセスの簡素化と信頼性の向上、そして手頃な価格帯の維持を確実なものとすることです。

新たな基準案では、全米の州間道路の50マイル(約80キロ)間隔に充電ステーションを設置することを義務づけ、その州間道路の出入口から1マイル(約1.6キロ)以内にも充電ステーションを設置することを求めています。また、あらゆる自動車メーカーの車種に対応したDC急速充電器を最低4基、各充電ステーションに設置することで、ピーク時の混雑や渋滞の緩和を目指しています。

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MACK HOGAN

現在では、テスラがアメリカ国内ですでに自社独自の車両プラグによる「スーパーチャージャー・ステーション」のネットワークを構築し、運営しています。公表されたこの新基準が施行された暁(あかつき)には、連邦政府の出資を受ける充電事業者はテスラと同じビジネスモデルを採用することができなくなります。

それに加えて、連邦政府からの資金援助を受ける事業者各社が自社の充電ポートへの顧客誘導のために、会員制を採用することなどが禁じられるほか、待ち時間や充電速度に関するリアルタイムの提示も義務づけられることとなります。

ピート・ブッテギーグ運輸長官は2022年6月8日(水)のブリーフィングで、記者団に対して「どこででも簡単に充電できる場所にたどり着けるようになることを、EVのドライバーには期待してもらいたい」と述べています。

バイデン大統領の就任以来、販売台数が倍増しているEVですが、その普及のためにはまだいくつもの大きなハードルが存在します。そこで現政権がまず取り組んでいるのが、2030年までに50万基ほどの充電ステーションの設置です。新事業となりますが、この計画には75億ドル(約1兆124億円)の予算が割り当てられています。

目標とする数字が実現可能であることは、「既にシミュレーション済みである」と、政府関係者は明言しています。しかしこの先、どれほどの困難が待ち受けているのか? 私たちは見守るほかありません。

Source / Road & Track
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です