建築家・池田武邦さん死去 98歳 ハウステンボスなど設計

ハウステンボスの設計などについて講演する池田氏=2010年、佐世保市のハウステンボス

 ハウステンボス(HTB)の設計に取り組み、自然との調和を訴えた建築家の池田武邦さん。訃報を受け、長崎県内関係者から惜しむ声が聞かれた。
 HTBは1992年開業、池田さんは2000~04年に会長を務めた。当時専務だった、大浦天主堂キリシタン博物館副館長の高田征一さん(77)は、「建設時は植物も育たない状態だった県の工業団地に、池田さんは生態系をつくることから始めた」と振り返る。
 土壌を入れ替え、コンクリートを使わない運河、石積みの護岸を整備し、海に汚水を流さない下水処理システムを導入した。「環境破壊をせず、未来を見据えた設計。その集大成がHTBで、遺産の一つとしてずっと残っていく。安らかにお眠りください」と語った。
 HTBの坂口克彦社長は「設立に尽力いただき感謝。今後も環境に配慮したテーマパークを継続していく。心から冥福を祈ります」とコメントを出した。
 池田さんが居を構えた西海市西彼町の「邦久庵」。家族ぐるみの付き合いをしていた同町の「竹の家」代表の松尾邦弘さん(68)は「穏やかな人で、地域に溶け込み気楽に交流をされていた」と述懐。邦久庵の保存と活用に取り組んでいる邦久庵俱楽部団体のメンバーでもあり「自然を大切にし環境整備に非常に熱心だった。その思いをみんなで引き継いでいきたい」と話した。


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