紙に絵コンテを描くなど、昔ながらの手作業を行ってきた日本のアニメーション制作現場にデジタル化の波が押し寄せ、アニメーターの働き方改革にもつながっている。
日本のアニメーションの制作現場はこれまで手作業が中心で、労働集約型の仕事だった。その世界にも、液晶ペンタブレットにスタイラスペンで描画して制作工程を進めるなど、デジタル化の波が押し寄せている。2020年初頭に始まった新型コロナウイルスの感染拡大も影響し、アニメ制作の現場は急速に変わり始めている。
アニメーション制作を手掛けるCloverWorksは、アニメを主とした映像作品の企画・製作および販売・映画配給、ソーシャルゲームの企画・製作を主な事業内容とするアニプレックスの100%子会社だ。同じアニプレックス子会社のアニメ制作会社であるA-1 Picturesから、2018年10月に分割して設立された。
ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であるアニプレックスは、大ヒットしている『鬼滅の刃』や最新作『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』など数多くのアニメ作品を企画・製作している。CloverWorksはアニプレックスなどから依頼を受けて、アニメーションを制作するのが主な業務だ。
新しい制作スタジオではあるが、これまでに『約束のネバーランド』シリーズ、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』などのテレビ向け作品や、『空の青さを知る人よ』『Fate/Grand Order -終局特異点 冠位時間神殿ソロモン-』などの劇場作品を数多く手掛けてきた。
アニメ制作会社には従業員が数人程度で、背景美術など作品の制作業務の一部だけに特化した小規模な企業も多い。社員数が約130人のCloverWorksは制作会社としては大手で、脚本から絵コンテ、作画、仕上げ、背景、撮影まで、アニメ制作に関わる多くの作業を社内で行っている。作画や仕上げなどを担当するクリエーターが社員の半数を占め、制作業務を請け負うフリーランスのクリエーターにも業務を委託している。