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 長期化する新型コロナウイルス感染拡大。世界中で進む、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み。産業構造が大きく変化する中で、2022年に飛躍が見込まれるのはどんな業界なのか。『日経業界地図 2022年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は、通信キャリアの業界地図を見ていこう。

通信キャリアのポイント
  • 値下げ競争活発化
  • 成長軸は非通信にシフト
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 光回線など固定通信と携帯電話に大きく分かれる。典型的なストック型ビジネスであるため、携帯電話事業大手3社の利益水準はいずれも国内有数の規模を誇る。新規参入の楽天モバイルは赤字。

最近の動向

 菅義偉政権の携帯料金の値下げ要請を受け、2021年春に携帯各社が割安な料金プランを開始した。大手3社はデータ通信量が20ギガ(ギガは10億)バイトで月額2000円台のプランを投入した。

 NTTドコモは手薄だった20歳代の顧客取り込みが進み、契約数は1カ月あまりで100万件を超えた。後発の楽天モバイルはデータ利用量に応じて自動的に料金が3段階で上がる新プランで、1ギガバイトまでは月0円という前例のない料金で対抗する。

 大手3社は自社内の既存プランからの変更が多く、楽天モバイルは2台目需要が大きい。他社から顧客をどれだけ奪えるかが今後の焦点となる。

 高速通信規格「5G」の基地局整備は進み、カバーエリアが拡大する。産業用途への期待が高いが、消費者向けに魅力的なコンテンツを打ち出せるかという課題に直面する。

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