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 住宅ローンなどを手掛けるアルヒが2021年11月、顧客のライフスタイルや価値観に合った「本当に住みやすい街」をAI(人工知能)が提案するサービス「TownU(タウニュー)」を始めた。家探しだけでなく街探しをサポートすることで、従来の顧客である分譲住宅の購入者だけでなく、賃貸住宅の利用者にも接点を広げる狙いがある。

 アルヒが11月11日に始めたTownUは、個人の属性や複数の質問からその人の住みやすい街ベスト3を提案する「街診断」や、街の施設情報などを伝える「街情報」などのサービスを提供する。同社はこれまでも毎年、「本当に住みやすい街大賞」を発表してきた。ただしこれは「最大公約数的な街の紹介」(アルヒの石橋薫執行役員マーケティング本部長)。それに対してTownUは「個別最適化のサービス」(同)を目指す。

TownUのWebサイト
TownUのWebサイト
(出所:アルヒ)

 街診断で利用者はまず、家族構成や性別、世帯年収などの属性情報を選択する。次に「いま住んでいる街」について、交通利便性やコストパフォーマンス、住環境といった7項目を5段階評価で回答する。最後に同じ7項目から自分が重視したい項目を3つ選び、新しい街に期待することなどの質問に答えると、AIが「あなたが住みやすい街ベスト3」を提案する。さらにAIが提案した3つの街と利用者がいま住んでいる街について、安全性や生活利便性など利用者が選んだ項目を比較して表示する。

住みやすい街の結果画面。ベスト3それぞれの詳細情報を確認できる
住みやすい街の結果画面。ベスト3それぞれの詳細情報を確認できる
(出所:アルヒ)

 AIが提案した3つの街について詳細な街情報も提供する。「こだわって家を探せるサービスは既にあるものの、緑が多い、受験の予備校がたくさんあるなど個人のライフスタイルに合わせた街選びにこだわったサービスはなかった」。アルヒの石橋執行役員はTownUの特徴をこう説明する。

 街の良いところはもちろんだが、マイナスポイントも伝えることにこだわった。「100点の街は存在しない。ある人がうるさいと感じる街は、ある人にはにぎやかでうれしいと評価されることもある。ライフスタイルに合わせて判断してほしい」(石橋執行役員)との狙いがあるためだ。

 現在の対象エリアは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県の一部だが、全国に広げていく考えだ。「住み続けるにしても引っ越すにしても、いま住んでいる街をきちんと知ることが大切だ。引っ越しを考えていない人にも、カジュアルに街の情報を知るという形でも使って欲しい。ここにこんなお店があったのか、など新しい気付きがきっとある」(石橋執行役員)。