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事業企画書は内容を精査し、見つけた課題は解決策を検討して修正する。事業を立ち上げる理由や経緯、企業理念と合致しているかは重要な要素になる。考え得る限り漏れの無い事業構造かつ収益計画の根拠を持ち、投資判定の場に臨もう。

 本連載は、新型コロナ禍後のニューノーマル時代に生き残るための新規事業立ち上げガイドラインを、限られたリソースの中で短期間に実際のプロダクトあるいはサービスを生み出すまでの取り組みを通して解説します。

 前回は事業企画の中で必ず実施すべきテストマーケティングについて解説しました。

 さて、あなたは新規事業を立ち上げる最後の山に来ました。最終ステップである投資判定の場にかける事業企画書の内容について、2回にわたり詳細に説明します。実際の事業企画書としてすぐにお使いいただけるスライドを付けますので、ぜひご活用ください。

 話は、「紺猿(こんさる)さん」という事業開発を得意分野とするコンサルタントの元に、新規事業を任された知り合いの「神姫(しんき)さん」が再び相談に訪れるところから始まります。

 神姫さんはソフトハウスの開発担当者でしたが、しばらく前に新規事業を突然任され途方にくれていました。旧知の紺猿さんを訪ね、一通り新規事業の立ち上げ方を学んだのです。いよいよ事業企画書が出来上がり、興奮気味に話し始めました。

 「紺猿さん、ようやく事業企画書がまとまりました。これから役員会に諮り投資判定をいただくのですが、その前に一度ご覧になって、おかしい点や、気にかかる点などあれば紺猿さんにアドバイスいただきたいのです」

 「作成した事業企画書を見直しましたか?」

 「はい、メンバーで分担して何度も見直しを行い、甘い部分やつじつまが合わない部分は再検討して修正しています」

 「さすがです。では拝見しましょう」

完成後に見直しは必須

 やっと事業企画書ができると、うれしいものです。ただ、それをすぐに投資判定の場に持ち込んではいけません。どんな企画書や提案書であっても矛盾や課題を含んでいるため、完成後に見直しが必須となります。

 見直したうえで発見した矛盾や課題については再度検討し、その矛盾を解消して課題の解決策を組み込んだ事業企画書として仕上げます。それらを解決することでさらに新たな矛盾や課題が発生する場合があるので、再作成した事業企画書についても見直して、メンバー全員が「これなら完璧だ」と自信を持って提示できる事業企画書として仕上げることが重要です。