「長期にわたる世界的な半導体不足の中で、安定調達は重要な事業課題である。台湾TSMCの日本工場はその解決策になり得る」――。ソニーグループ(ソニーG)副社長兼CFO(最高財務責任者)の十時裕樹氏は、2021年10月28日に開催した決算説明会でこのように語った。

 十時氏は会見で「当社のイメージセンサー製造工程では、ロジックウエハー生産のほとんどを外部委託している。安定調達のため、TSMCの日本工場を新たなロジックウエハーの調達先にする予定だ」と説明した。TSMCが日本に新たな半導体工場の建設を検討していることは、21年10月にTSMCが発表していた。

 今後のTSMCへの出資や合弁会社設立に関して十時氏は、「具体的な出資額などは、包括的な検討・協議をしている段階にある」と話した。「引き続きTSMCや経済産業省と協議し、日本での半導体工場運営のノウハウを生かして工場立ち上げに協力していく」(十時氏)。

ソニーグループ副社長兼CFO(最高財務責任者)の十時裕樹氏
ソニーグループ副社長兼CFO(最高財務責任者)の十時裕樹氏
(出所:会見の様子をキャプチャー)
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 ソニーGが同日発表した22年3月期第2四半期(21年7月~9月期)の連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比13%増の2兆3694億円、営業利益が同1%増の3185億円で、「第2四半期の実績としてはいずれも過去最高を更新した」(十時氏)。これに伴い、21年8月時点の通期の業績予想を上方修正。売上高を2000億円増の9兆9000億円に、営業利益は600億円増の1兆400億円とした。

 分野別では、第1四半期に引き続き、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野(EP&S)が増収増益となった。売上高が前年同期比9%増の5819億円、営業利益は同36%増の727億円となった。

 このほか、売上高が大きく伸びたのはゲーム&ネットワークサービス分野(G&NS)である。売上高が前年同期比27%増の6454億円となり「ゲームソフトの売り上げなどが、巣ごもり需要があった前年を大きく上回る形になった」(十時氏)。一方で、「PlayStation 5」の製造コストなどハードウエアや周辺機器の損益悪化が影響し、営業利益は前年同期比22%減の827億円にとどまった。

 イメージング&センシング・ソリューション分野(I&SS)では、第1四半期は増収増益だったものの、第2四半期では一転して売上高が前年同期比9%減の2783億円、営業利益は同2%減の497億円と減収減益となっている。十時氏は「来年度に向けて、ロジックウエハーの確保が大きな課題である」としながら、「半導体の逼迫する需給状態は、来年度も継続するだろう」と予想した。