大分県発「高崎山自然動物園」でメスのボス猿が誕生した深い理由 | FRIDAYデジタル

大分県発「高崎山自然動物園」でメスのボス猿が誕生した深い理由

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開園以来、68年の歴史で初めての偉業
オス猿をケンカで次々に倒して……
自民党より先にここでは、男性たちを押しのけて女性がトップに立った――。

ヤケイは人間で言えば30歳ほど。体力的にはピークにある。子どもはいるが、夫にあたる存在は、いまはいない
ヤケイは人間で言えば30歳ほど。体力的にはピークにある。子どもはいるが、夫にあたる存在は、いまはいない

野生のニホンザルに餌付(えづ)けしている大分県・高崎山自然動物園には、B群(677頭)とC群(362頭)の2つ群れが存在する。このB群において、今夏、史上初めて、メスのボス猿が誕生したのだ。

それが上写真の凛々しい目つきをしたヤケイ(9)である。彼女はどうやって「女帝」に上り詰めたのか。同園ガイドの下村忠俊さんが解説する。

「ヤケイの母親・ビケイはメスの中の序列でナンバーワンでした。今年3月頃、その母親をヤケイはケンカで倒しました。普通はそこまでで、メスがオスにケンカを仕掛けることはありません。体格が違うからです。しかし、ヤケイはオスたちもどんどん打ち負かした。

もともとヤケイは序列2位のマクレーンのお気に入りでした。そのマクレーンも追い抜きました。そして、6月にはトップだったナンチュウ(32・下)にも噛(か)みついた。きっかけはヤケイが食べようとしたエサに子ザルが手を出したこと。怒ったヤケイをナンチュウは止めようとしたんですが、反撃されて引き下がった。ナンチュウが組み伏せられたような印象でした」

それが下剋上の瞬間だった。これ以降、ナンチュウがボスに返り咲いた様子はなく、ヤケイが序列1位に君臨している。

彼女は純粋に腕っぷしの強さによって頂点に立ったわけだが、その地位は今後も安泰なのか? オスたちは群れに加わった順序を重視するため、ボスの座の奪い合いはそうそう起きないそうだが、ヤケイには思わぬ不安要素があるという。

「発情期になったヤケイがオスと親密になるかもしれません。そのオスがヤケイよりも立場が上になれば、彼女のランクが落ちることになります。オスの序列は変わらないので、ナンチュウがボスにまた戻る可能性もあります」(下村さん)

高崎山のサルたちの発情期は、11月から3月だそう。はたして、ヤケイはボスの座を守れるのか、それとも恋に落ちてしまうのか。この冬が正念場である。

高齢のナンチュウは、17代目ボスを7年間も務めてきたが、その座をメスのヤケイに明け渡した
高齢のナンチュウは、17代目ボスを7年間も務めてきたが、その座をメスのヤケイに明け渡した
大分県発「高崎山自然動物園」でメスのボス猿が誕生した深い理由
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大分県発「高崎山自然動物園」でメスのボス猿が誕生した深い理由
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『FRIDAY』2021年10月15日号より

  • 撮影濱﨑慎治

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