中国、取材させたい?邪魔したい? WHO報道に謎対応

有料記事特派員リポート

武漢=高田正幸
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 新型コロナウイルスの起源を探るため、中国の湖北省武漢市で1月末から約2週間の調査にあたった世界保健機関(WHO)調査団を密着取材した。もともと取材環境が厳しい中国で、国際的な政治問題になった話題ということもあり、取材は難航が予測されたが……。

 1月28日、まだ太陽も昇らない午前6時ごろ。武漢入りした調査団メンバーたちがコロナ対策のため隔離されていた市内のホテルに到着すると、すでに別の車が待機していた。欧州メディアの記者がじっと後部座席でホテルの様子をうかがっている。明るくなるにつれて周辺に車や記者の数は増え、午前8時ごろには数十台の車、30人以上の記者がホテル周辺に集まった。地元の人も驚いた様子で、何人もが「何があったの?」と尋ねてきた。

 なぜこうなったのか? 調査団は日米豪など各国の専門家らで構成される。シンガポール経由で1月14日に入国した一行はこの日、中国側が求めていた2週間の隔離を終えてホテルを出るとみられていた。しかしWHOからも中国政府からも、一行のスケジュールについての発表はなし。調査団がいつ、どこに向かうのか、記者たちもはっきりと分からない。そのため早朝からホテル周辺に集まり、調査団の動向をうかがっていたのだ。

にらみつける私服の男たち

 結局、調査団のメンバーが姿を現したのはこの日午後3時過ぎだった。玄関前に横付けされたバスにそのまま乗り込み、報道陣の呼びかけに応じる間もなく走り去った。付近で待機していた十数台の報道陣の車両が、行き先を突き止めようと後ろをついていった。

 長い車列が約1時間かけて到着したのは、郊外のリゾートホテルだった。隔離を終えた調査団の滞在先だが、敷地の中がフェンスで仕切られ、一行の宿泊する棟に報道陣は近づくことができなかった。様子をうかがおうと、建物の中が見通せる窓の前に記者が殺到したが、それも布でふさがれてしまった。

 本格的な現地調査が始まった…

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