ソニービジネスソリューションは2020年11月18日、RSK山陽放送から、番組素材映像のIP伝送規格である「SMPTE ST 2110」を全面採用した映像制作システムを一括受注したと発表した。具体的には、回線マトリックスシステム、制作スタジオサブシステム、報道スタジオサブシステムである。

 RSK山陽放送は、2021年に新社屋「RSKイノベイティブ・メディアセンター」への移転を予定する。新社屋開業に合わせて、効率的でスケーラブルな映像制作システムの実現を図る。

RSK山陽放送が2021年に移転を予定する新社屋「RSKイノベイティブ・メディアセンター」
RSK山陽放送が2021年に移転を予定する新社屋「RSKイノベイティブ・メディアセンター」
(発表資料から)
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 新システムでは、回線設備やスタジオサブごとに個別のルーターを設置せず、全ての映像信号を回線マトリックスシステムに統合する。従来のSDIで入力される映像信号も、SDI-IPコンバーターボードでSMPTE ST 2110に変換する。メディア伝送にSMPTE ST 2110を全面採用した回線マトリックスシステムやスタジオサブシステムの導入は国内初という。

 RSK山陽放送の佐藤直樹氏(技術局制作技術部主査)は、「SMPTE ST 2110の将来性に魅力を感じ、今回の選択をした。1つのサブだけでなく、回線とサブシステムのすべてをIP化することでリソースシェアやクロス運用などのメリットが生まれる」「国際的な標準規格を採用することで他社の映像機器だけでなく、インカムなどの他のシステムとの接続や、局内の将来的なIP化にも対応可能。さらに、IPリモートプロダクションによる機動性だけでなく、リモートメンテナンスによる障害の早期把握と迅速な切り分けができるため、これからの省力化にも期待している」とコメントした。