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 新型コロナウイルスの感染拡大によって、人が介在せずにすべての作業を完結させる無人化や、ヒトが直接触れずに遠隔から作業するニーズ、あるいはソーシャルディスタンスを守ってもらうといったニーズが拡大している。日経クロステック EXPOの開催9日目となる2020年10月20日には、「非接触ニーズが生み出す世界」と題して、これらのカテゴリーにおいて先進的なサービスを提供する企業がリレートークを展開した。

「アバター」が人と人の距離をなくし、新たなビジネスを生み出す

 トップバッターとなったのは、avatarin(アバターイン)だ。同社は、遠隔から操作可能なアバターロボットを開発し、サービス化している企業だ。同社代表取締役CEOの深堀昂氏は、新型コロナウイルスの患者が入院している病院や、地方の店舗でロボットを使うことで、人々が自由にショッピングをしたり、家族に会ったりできるという遠隔操作ロボットを利用したサービスを紹介した。

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 「パソコンやスマートフォン、テレビなどからアバターロボット(が空いているか)を検索し、(遠隔からこれを操作して)ショッピングをしたり、老人ホームにいる家族に会ったりといったことができる世界を実現しようと考えている」(深掘氏)と言う。同氏は「飛行機や車、電車といった乗り物は体を移動させる乗り物だが、意識だけを伝送できるモビリティーインフラを作ろうと考えて2016年から準備をしてきた」と話す。

 アバターインがサービス先として想定しているのは「ショッピング」「ミュージアム」「オフィス」「ホーム」「教育」「ヘルスケア」「セキュリティー」の7つだ。「デジタルでリアル空間に入ることによって、想像を超えるような提案や偶然の商品との出会い、いわゆる『セレンディピティー』と呼ばれているものを提供できる。単身赴任者の家庭で実証した場合、小さな子供でも高齢者でも、近付いて普通に会話をしたり、子供の様子を見たりできる。アバターの場合はデジタルな知識がなくても使えて、信頼関係の構築などもしやすい。入っている人そのままの存在感を伝送できるツールだ」(深堀氏)とした。

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