大麻がドラッグとして使われていたことを示す最古の直接的な証拠が、中国西部の2500年前の共同墓地から発見された。研究論文が6月12日付け学術誌『Science Advances』に発表された。(参考記事:「【動画ルポ】大麻の違法栽培を強制捜査、米国」)
アジアの同時代の遺跡では、これまでも何度か大麻草とその種子の痕跡が見つかっていて、2016年には大麻草で遺体を覆う「埋葬布」も発見されている。だが、大麻草の用途は幅広いため、向精神作用のために使われたのか、それとも何らかの儀式のためだったのかはわかっていなかった。(参考記事:「2500年前の墓から完全な大麻草13本を発見」)
国際研究チームは今回、中国西部のパミール高原にあるジルザンカル墓地から発掘された、木製の鉢10点とその内容物を分析した。鉢には高熱にさらされた形跡のある小石が入っていたことから、考古学者たちは鉢の正体を、香などの植物性の物質を燃やすための火桶であると特定した。
鉢を化学分析したところ、10点のうち9点は、かつて中に大麻が入っていたことが明らかになった。そこで研究者たちは、これらの試料の化学的特徴を、中国北西部にある別の遺跡、加依墓地で発見された大麻草と比較した。
その結果、ジルザンカル墓地の大麻草は、加依墓地の大麻草にはない物質を含んでいることが判明した。向精神作用を引き起こすテトラヒドロカンナビノール(THC)分子の名残である。(参考記事:「大麻栽培は「エコでオーガニック」志向へ、米国」)