「あら、フクロウのヒナよ。素晴らしい!」
裏庭の巣箱の中で、小さなフワフワの生きものが動いているのに気付いたとき、米国フロリダ州ジュピター在住のローリー・ウルフさんはそう思った。1カ月ほど前から、フクロウの仲間であるヒガシアメリカオオコノハズクが1羽、巣箱で暮らしていた。そのため、ウルフさんはコノハズクのヒナが生まれたのだと考えた。(参考記事:「すごいフクロウ14選、人気投票開催!」)
ところが、事実ははるかに奇妙だった。
嵐がやって来て、空が暗くなったとき、ウルフさんと夫は、メスのコノハズクが巣箱から顔を出しているのをチラリと見た。その右に、カモの仲間であるアメリカオシドリのヒナがいた。
「2羽が並んで座っていました」と、野生生物をテーマに創作活動を行うアーティストで、アマチュア写真家でもあるウルフさんは振り返る。「信じられません。今でも信じられません」
肉食性のコノハズクがアメリカオシドリのヒナを食べてしまうのではないかと心配したウルフさんは、猛禽類の専門家に連絡。専門家は確かに危険かもしれないと認めた。地元の野生生物保護区も、もしウルフさんがヒナを捕まえたら、引き取って世話をすると約束してくれた。
しかし、ウルフさんと夫が介入しようとした矢先、カモのヒナが巣箱から出て、近くの池に「真っすぐ」飛んでいった。それ以来、ウルフさんはヒナを見かけていない。
「こんなことは二度と体験できないでしょう」
ウルフさんはそう言うが、もしかしたら2度目があるかもしれない。アメリカオシドリがヒガシアメリカオオコノハズクと暮らしていたという科学的記録が、実は存在するのだ。
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