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バレンタイン時期に改めて考える、“赤”の魅力。【ファッションプロの週間コーデ予報/仙波レナ編】

身近なようで遠い色、赤。リップやネイルといった局所で取り入れても目立つのに、ましてやファッションなんて…と及び腰になってしまう人も少なくないはず。バレンタインデーという赤が似合う1日を前に、スタイリストの仙波レナさんとともに、改めてその魅力について考えてみました。

赤を気負わずさらっと着こなすコツとは?

編集N まもなくバレンタインデーですね! せっかくなら赤を効果的に取り入れた着こなしで、いつもよりロマンティックな気分を演出してみたいという方もいるのではないかと思うんです。でも赤って、ともすればキメキメになってしまうという側面もありますよね? なので今日は、改めて赤についてお話をお伺いさせてください!

仙波 私は赤に対しての苦手意識はなく、むしろ好きですね。**赤は色そのものに強さがあるのでコーディネートしやすいんです。**特に意識していなかったのですが、改めて自分のインスタグラム(@rena_semba)を見返すと赤を着ていることが多い……どうやら無意識のうちに手にとってしまう色のようです。

編集N どうすれば仙波さんのようにさらっと赤を取り入れられるようになるのでしょうか? 着こなしと合わせてポイントを教えてください!

仙波 私はこのジャケットのように赤をメインアイテムとして使うことが多い気がします。この日は色の強さとあいまってカチっとキマり過ぎるのを避けたかったので、ダウンコートを合わせて少しカジュアルに。冬の寒い空気に裏地のオレンジと赤が映えるかな、と思って組み合わせてみました。

編集N カジュアルなアイテム合わせはすぐ真似できそうですね。私、赤ってすごく好きな色なんですが、ファッションとなるといつも差し色的存在として考えていて。メインで取り入れるという発想が意外と無かったことに気づかされました!

仙波 **赤の強さを素直に受け入れてみると、もっとコーディネートが楽になりますよ。**こちらは少し変化球コーデですが、ジャガード素材の赤コートにはあえてストライプ柄のセットアップを。柄オン柄スタイルですが、しっくり馴染んで見えませんか?

編集N 確かに……! 私は赤を着る時、つい他をシンプルにしてしまう癖があったのではっとしました。

仙波 派手といえば派手かもしれませんが、それが赤の魅力です。楽しまないともったいないですよ。

ビギナー向け、「間違えない赤ボトム」のススメ。

Photo: Splash/AFLO

編集N 赤をメインアイテムで取り入れるというお話をもう少し詳しく聞かせてください! ビギナーにおすすめのアイテムはありますか?

仙波 ヴィクトリア・ベッカムみたいなスカートスタイルはいかがでしょうか? この写真だけだとワンピースなのかセパレートなのか少し判断しづらいのですが、どちらであっても素敵ですね。こういったスタイルならバレンタインのデートにもぴったりなのでは。

編集N オンでもオフでも通用するスタイルですね。赤と白の組み合わせは難しいと思っていたのですが、こうやってアイテムを間違えなければおしゃれに見えることがわかりました!

仙波 赤と白の組み合わせは華やかに見えるので、パーティーなどにもぴったりですよ。着こなしに悩んだら、ヴィクトリアのように小物まで赤で揃えてしまうのもおすすめです。

Photo: Abaca/AFLO

編集N 個人的にはあまりスカートを履かないので、パンツだったらというお話も聞きたいです!

仙波 パンツスタイルで赤を取り入れたい場合は、どこかに女性らしいムードを残すとトライしやすいと思います。

編集N こちらのお手本も、この連載ではもはや殿堂入りを果たしてしまいそうなヴィクトリア・ベッカムですね。クールだけど、ちょっと甘い色香も感じさせているのが心憎い!
仙波 彼女はすべてのバランスが上手なのですが、Nさんの言う通り水色というニュアンスカラーのチョイスとフェミニンな素材を取り入れているところがポイントですね。透けているブラも全然嫌味がなくセクシーで、お上手です。ここまで大胆な透け感は日本だと難しいかもしれませんが、デートというシーンを想定するとこうして赤の強さを少し和らげる着こなしはすごく使えると思います。一般的に言うモテを意識しないならコンサバに着る強い赤スタイルも私は好きですが……。

赤いニットはあくまで自然体なムードでカジュアルに着るべし。

Photo: Broadimage/AFLO

編集N ニット党としては赤ニットの着こなしも知りたいです。先日、ローゲージの赤カーディガンを着ていた時にモテなさそうと言われてしまって(苦笑)。女性らしく着こなす方法を知りたいです。

仙波 合わせ方によりますよ。王道ですがケイト・ボスワースのようにデニムを合わせるのはどうでしょうか? 黒は少しハードに見えてしまうので、こういったデニムやキャメルカラーなどで柔らかさを足してあげるといいと思います。

編集N 私は困るとつい黒スキニーを合わせてしまうのですが、その赤カーディガンを着ていた日もまさに黒スキニーを履いてました! コントラストが強すぎて強く見られてしまったのかもしれませんね…。ケイトの赤リップとニットをリンクさせるテクニックも、脳内メモにチェックしました!

Photo: Backgrid/AFLO

仙波 でも赤だからといって急に構える必要もないと思うんですよね。まずはいつも着ているものをちょっと赤にしてみるぐらいの気持ちで始めましょう。このエマ・ロバーツぐらい自然体な感じもいいですね。

編集N なんてことはない着こなしだけど赤だからちょっとかわいい……みたいなイメージですね、少しわかってきました! 素肌と赤ニットのコントラストもポイントな気がします。

仙波 **赤は肌や髪の色など関係なくみんなが綺麗に見える色ですし、赤いリップがずっと支持されているのもそういう理由ですよね。全ては赤という色に強さがあるからこそだと思います。**ちなみにニットも素敵ですが、わたしは赤ブラウスとデニムという組み合わせも簡単で素敵に見えるのでおすすめしたいです。

赤の分量によって求められるコーディネート能力は異なる?

Photo: INSTARimages/AFLO

編集N 赤ってポイントで効かせるイメージもすごくあります。シューズやバッグだけ赤にしてポイントにするという人も多いと思うのですが、選び方のポイントがあれば知りたいです。
仙波 **小物ひとつだけ赤というのは実はかなり難しいパターンなんです。狙っている感じが出てしまうので、相当服を着慣れている人でないと失敗しがち。**特にシューズは注意が必要です。カーリー・クロスも決してダメな着こなしではないのですが足もとが浮いて見えませんか?

編集N 非常にやりがちですが実は危険というパターンですね…。

Photo: Edward Berthelot/Getty Images

仙波 もしひとつだけ取り入れるならシューズよりバッグのほうがバランス取りやすいです。でもそれよりもオススメは、ドレスやコートといったメインアイテム。赤は分量を少なくすれば、コーディネートが簡単というものではないのです。たとえばこの彼女みたいなコート。自分に似合う形をみつけることは大前提ですが、それさえ見つけてしまえば着こなしはシンプルでOK**。着ればそれだけでサマになる大物赤アイテムは意外にコーディネートの救世主だったりするんです。**
編集N 勉強になります。確かに彼女のちょっぴりギークだけどスタイルがある感じのコーディネート、すごく可愛いです! 街で見かけたら二度見しちゃいそう。赤のコート、欲しくなっちゃいました!

編集N 赤の着こなしに苦手意識がある人ほど分量を多くしてみるのはアイデアですね。とはいっても、大物アイテムを買うのは勇気がいる…という方のために、“効かせ赤”で失敗しない方法も教えてください!

仙波 **効かせ赤はバランスが全てだと思います。わたしの場合はベルベット素材の袖口を見せることで、モノトーンの着こなしに捻りをプラスしてみました。ポイントはその着こなしに赤がなあるのとないので違うか否か、入れる意味があるかを見極めるということ。**あったほうが圧倒的に素敵な場合もあります。赤の色味や質感、分量のベストなものを鏡の前でしっかりチェックしてみてください。

仙波さんに学ぶ、赤との付き合い方。

私のクローゼットの中はほぼ黒。でも、改めて色を探すと赤も多いことに気づきました。赤はぱっとみただけでとても印象的な色ですし、肌をきれいに見せれてくれる。なによりも華やかなオーラがあるところが好きです。ジャケットにコート、トップス、ワンピースにパンツ、シューズ……よく見たらほぼ全てのアイテムを所有していました(笑)。

今シーズンいろいろな方から褒められたのは、赤いニットワンピースと黒いムートンコートの組み合わせ。赤と黒のコーディネートはコントラストが強いから怖いという人もいますが、素材とかデザインとかコーディネートによって印象は全然変わってくるものだと私は思っています。この着こなしもニットだからこそソフトな印象に見えますよね。

赤に代表されるパワーのある色は全員が手を出すものではないと思うので、纏うことでストレスは感じてしまうなら無理に着る必要はないと私は思います。でもせっかく着るなら堂々と! 慣れもあると思うので、まずはバレンタインデートの前に赤を身につける練習をしておくといいと思います。

仙波 レナ

スタイリスト地曳いく子氏のアシスタント経て、独立。『VOGUE JAPAN』をはじめ、さまざまなモード誌や広告、CMなどで幅広く活躍

Text: Asa Takeuchi Editor: Airi Nakano