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平成のタイトル・ホルダーズ[投手編] シーズン三冠は、野茂英雄、上原浩治、マエケン、菅野智之と…

宇根夏樹ベースボール・ライター
菅野智之/2017年のWBC MAR 8, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 平成の三冠王が松中信彦しかいないのに対し、同一シーズンに防御率、勝利、奪三振のいずれもリーグ1位の「投手三冠」は5人が記録している。平成2年(1990年)の野茂英雄、平成11年(1999年)の上原浩治、平成18年(2006年)の斉藤和巳、平成22年(2010年)の前田健太、平成30年(2018年)の菅野智之がそうだ。

 5人のうち、野茂は39歳まで投げ、3人は今も現役だが、斉藤は右肩の故障に見舞われ、30歳以降の登板はなかった。野茂、上原、前田はメジャーリーグのマウンドにも立っていて、菅野も今後そうなる可能性がある。

 また、各タイトルを最も多く獲得したのは、最優秀防御率が4度の菅野、最多勝が5度の斎藤雅樹、最多奪三振は5度の則本昂大だ。菅野と則本はどちらも、昨年のタイトルによって最多タイから単独最多となった。

筆者作成
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 3タイトルの合計最多には、9度の3人が並ぶ。内訳はそれぞれ違い、斎藤は最優秀防御率3度、最多勝5度、最多奪三振1度。野茂は1度、4度、4度、松坂大輔は2度、3度、4度。野茂はこれに加え、メジャーリーグでも平成7年(1995年)と平成13年(2001年)にリーグ最多の三振を奪っている。最初はナ・リーグ、2度目はア・リーグだ。

 斎藤は二冠のシーズンも最も多く、4度を数える(二冠以上のシーズンとすれば、三冠1度と二冠3度の野茂も最多)。斎藤の内訳は、最優秀防御率&最多勝が3度、最多勝&最多奪三振が1度。最優秀防御率&最多奪三振はなかった。ちなみに、平成8年(1996年)のセ・リーグは3タイトルとも「斎藤」が1位(勝利はバルビーノ・ガルベスも1位)ながら、最多奪三振は斎藤隆だった。

 同じシーズンに同じリーグで2人が二冠も、2度あった。平成5年(1993年)のセ・リーグでは、山本昌(当時は昌広)と今中慎二野村弘樹が最多勝のタイトルを分け合い、チームメイトの2人は別のタイトルも獲得した。山本は防御率、今中は奪三振でもリーグ1位に立った。平成15年(2003年)のパ・リーグでは、最多勝の斉藤と最多奪三振の松坂が、まったく同じ防御率2.83――ともに194.0イニングを投げて自責点61――で1位に並んだ。

 なお、「平成」あるいは「昭和と平成」を振り返った姉妹編はこちら。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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