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カウンターカルチャーはここから生まれる! 魅惑のジョージア・トビリシ案内。

ヴェトモン(VETEMENTS)デムナ・ヴァザリアの故郷であり、今や、世界のストリートトレンドを牽引する国、ジョージア。中でも、先日盛況のうちに幕を閉じたメルセデス・ベンツ ファッションウィークの開催地である首都トビリシは、旧ソビエト時代の面影を残し、東西文化が交わる場所として、感度の高い人々から高い注目を集めている。最先端セレクトショップからレストラン、アンダーグラウンドなクラブまで、今のトビリシを象徴するスポットを『VOGUE』が厳選。次の旅行先リストに加えてみて!

世界のファッショントレンドを牽引する街。

シオニ大聖堂を手前に、トビリシの中心街を臨む。 Photo: WestEnd61/REX/Shutterstock

都市型バケーションの目的地としても人気上昇中のジョージアがソ連から独立したのは、今から約30年前の1991年のこと。以来、その首都トビリシには若い活気がみなぎり、新しい才能が芽吹き、独自の文化を育んできた。ジョージア出身のデザイナー、デムナ・ヴァザリアバレンシアガ(BALENCIAGA)のアーティステッィック・ディレクターに就任した2015年には、メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク トビリシもスタートし、目を見張るほどの盛り上がりを見せている。

ショーの合間に高感度なファッション関係者たちが目指すのは、世界の有名DJたちが夜な夜なプレイするクラブから気鋭セレクトショップまで、ほかの都市とは趣の異なるトビリシ特有のデスティネーション。旧ソビエトの面影を残す建築物や、東西が融合した独特の料理も、旅行好きたちの心を掴んで離さない理由だ。

元出版社を改装した、ヒップなデザインホテル。

Stamba Hotelの部屋。煉瓦を使用したヴィンテージライクなインテリア。
出版社の雰囲気を残し、インダストリアルシックにまとめられたStamba Hotel。

トビリシの滞在先の中でも、ファッションを愛する人たちから絶大な支持を獲得しているのが、旧市街のヴェラ地区にあるRooms Hotel。毎年3月と11月は、ファッションウィークに集まるエディターやバイヤーたちで予約が一杯になる。スタイリッシュでモダンなこのホテルは、もともと出版社だった建物を改装したというだけあり、ホテルらしからぬ独特の雰囲気で、おしゃれで独創的な人たちを魅了している。

さらに最近、Room Hotelのすぐ近くに2軒目となるホテル、Stamba Hotelもオープン。こちらも以前は出版社だった建物。両ホテルには素晴らしいバーが併設されているので、ぜひ、ナイトアウトや夕食前のカクテルを楽しんで。どうも外出に気分が乗らない……なんていう時には、自分の部屋で美味しいカクテルが作れるよう、材料とカクテルレシピ本を用意してくれる。

個性的なコンセプトショップはマストチェック。

まるでギャラリーのように商品がディスプレイされている、トビリシ随一の高感度セレクトショップ、Chaos Concept Store。
Chaos Concept Storeは、ストリートファッションに対する確かな嗅覚で、世界のファッション業界人からもリスペクトされる存在。

ドーバー ストリート マーケットのファンなら、Rooms Hotelの中にあるジョージアきっての気鋭セレクトショップ、CHAOS Concept Storeがおすすめだ。自身もファッションウィークに参加するデザイナー、ゴーラ・ダミアン(Gola Damian)とタマラ・コパリアーニ(Tamara Kopaliani)が立ち上げたショップで、地元のファッショニスタやおしゃれなスケーターたちが、入れ替わり立ち替わり、最先端アイテムを物色しにくる。地元の才能あるデザイナーはもちろん、ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON) 、プリスカヴェラ(Priscavera)やアー・ペー・セー(A.P.C.)などのインターナショナルブランドも取り扱っている。

もっと落ち着いたアイテムをお探しなら、Pierrot Le Fouへ。イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)シモーネ・ロシャ(SIMONE ROCHA) のように、大人好みの洗練されたアイテムを扱う、美しいコンセプトストアだ。

旧ソ時代の建築遺産を巡る。

トビリシ市内には、数多くの旧ソビエト建築が残る。元交通局ビルで、現ジョージア銀行の建物もその一つ。 Photo: Alamy Stock Photo
"ジョージアのストーンヘンジ"とも呼ばれる、石造りの巨大なジョージア史記念碑。 Photo: Alamy Stock Photo

オットーマン、ペルシャ、ビザンチン様式など、旧ソビエト時代に建てられたさまざまな建築は、間違いなくトビリシの魅力のひとつ。街に着いたら、建築巡礼に繰り出そう。主要な建物を網羅するウォーキングツアー(Brutal Toursなど)に参加するのもお勧めだ。1984年に建てられたWedding Palaceは、トビリシでは珍しく曲線を生かした構造で、かつてはマーガレット・サッチャーといった要人や、ディープ・パープルのイアン・ギランなどのセレブを迎えた場所だ。現在ではイベント会場として使用されており、一般の結婚式も行なっている。他にも、ジョージア銀行、産業技術大学のホール、考古学博物館は必見。

東西文化が融合した伝統料理に舌鼓を。

伝統的なジョージア料理の一つ、パン生地にチーズを包み込んだハチャプリ。 Photo: Sofa Images/ Getty Images

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トビリシの伝統的なジョージア料理専門店といえば、Keto and Koteの右に出るものはない。古い民家を改装したレストランからは、市街地を一望でき、ジョージア西部の名物であるエラルジ(コーンフラワーにたっぷりのチーズを加えたおかゆのようなもの)や、地元産のワインを存分に楽しめる。少し違った角度で伝統を楽しむなら、Shavi Lomi(The Black Lion Restaurant)もおすすめ。地元の有名シェフMeriko Gubeladzeによる、モダンにアップデートされた郷土料理を提供しており、天気が良ければ、中庭でランチを楽しむことも。在りし日のジョージアを偲ばせる、クラシカルなインテリアに囲まれていただくディナーも心地良い。

昔ながらのセラーで、ワインテイスティング。

洞窟を利用したワインバーVino Undergroundには、地元産のワインが揃う。

数千年にわたってぶどうを栽培してきたジョージアは、世界有数のワイン産地としても知られる。今日でも多くの生産者が、クヴェヴリと呼ばれる陶器のつぼを地中に埋めて、ぶどうの果汁を発酵させる古来の手法を用いている。地元産のワインを試飲できるVino Undergroundでは、家族農園で育てた100種類のジョージアワインを取り揃えている。ぶどうがワインになるまでの生産工程について学びながら、香りや味を比べて楽しもう。

旅のハイライトは、街を一望できるルーフトップバーへ。

縫製工場を改装した、インダストリアルなムードのFabrika。
旧ソビエトの退廃的なムードが漂うFabrikaには、ホステルやコワーキングスペースも。ローカル、トラベラーともに人気だ。

ヨーロッパ最高のルーフトップバー」と評判のArt-Caféからは、トビリシの市内を一望できる。ライブや優れたDJたちによるサウンドが響き渡り、夜を過ごすのにぴったりだ。旧ソビエト時代の縫製工場を改装した、Fabrikaもクール。バーのほか、カフェやショップなどが集まるカルチャー発信地となっている。夕方に訪れて、まずはDive Barでカクテルを一杯。トビリシの夜は、ここから始めよう。

退廃的ムードがクールなクラブは、テクノ天国!

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旧ソビエト時代のプールを改装したカルトなテクノクラブ、Bassianiは、トビリシのアンダーグラウンド・ユースカルチャーの震源地だ。ジョージア政府との闘争を経て、最近再オープンを果たした。木曜日から土曜日の翌朝まで、世界的DJたちのプレイが手頃な値段で楽しめるとあり、毎夜、音楽ファンたちの熱気に包まれる。近くにあるMtkvarzeは、Bassianiに比べるとやや落ち着いた客層だ。朝まで踊り明かしたら、ロビアニ(豆を入れたパンで、これがまた美味しい!) を買って帰ろう。

実は温泉大国。疲れた体を癒そう。

トビリシのオールドタウン、アバノトゥバニ地区にあるSulphur Bathsは、いくつもの伝統的なハマムが連なる。 Photo: Alamy

どんなに歩き疲れても、夜遊びしすぎても大丈夫。トビリシには硫黄泉があるからだ。温泉地として有名なアバノトゥバニ地区には、5世紀に当時のジョージア国王が発見したという天然温泉が各所にある。ご存知の通り、硫黄は消化や血行を良くして肌のコンディションを改善し、ストレスを和らげる効果があるとされる。なかでも、鮮やかなブルーのタイルで飾られた天然温泉、Orbeliani Bathは、ラグジュアリーな雰囲気。個室もあるので、グループで部屋を借りて、くつろぎながらデトックスしよう。

Text: Lucy Maguire