BEAUTY / Wellness

各国エディターが“美腸の作りかた”を伝授。

「第二の脳」と呼ばれる腸は、体調や肌の状態だけでなく、ストレスにも関係している大切な器官。腸の健康状態を向上するには、何に気をつけるべきなのか? 腸内環境に詳しい専門家とともに、インド、中国、ドイツ、そして日本の『VOGUE』のビューティーエディターたちに、オススメ腸活法を聞いた。

不健康な腸が及ぼす影響は?

Photo: Alexander Nedorez/ 123RF

体調、睡眠、体の動き、気分、肌、目の澄み具合──腸の健康は、そのすべてに影響を与えていることをご存知だろうか? ウェルネスの世界では、腸を最適な状態に保つとされる、酵素やプロバイオティクス(人体に良い影響を与える微生物を含む食品やサプリなど)に大きな期待が寄せられている。

「腸が不健康だと、いろいろなところに悪影響が出る」

こう語るのは、『The 4 Pillar Plan: How to Relax, Eat, Move and Sleep Your Way to a Longer, Healthier Life』の著者である医師のランガン・チャテジー。

「消化不良や胸焼け、腫脹といった腸の症状だけでなく、気分や肌のトラブル、関節痛といった問題にもつながるのです」

腸や消化のバランスが崩れると、たちまちほかのパーツにも悪影響が出る。最初に出るのは消化不良や胸焼け、腫脹といったわかりやすい症状。でもすぐに、吹き出物や乾燥肌、関節痛やといったトラブルが出てくる。チャテジーはこう説明する。

「過去10年で、この分野の研究はかなり進みました。現代の慢性疾患の大半は何かしらのかたちで炎症と関連していることがわかっています。炎症は体の免疫システムが原因となって発生するわけですが、この免疫の70パーセントが腸の周辺に位置しているのです」

腸とストレスの因果関係。

腸の健康は、ストレスとも関連してる。過去の研究からは、腸内の微生物のバランスがとれていると、ストレス反応が抑えられることがわかっている。さらに、消化機能が良好だとストレスホルモン「コルチゾール」の急増が抑制され、記憶力も向上するという。心身の健康のためには、腸内バランスをまずは整える必要がありそうだ。チャテジーは続ける。

「運動、食事、睡眠、リラクゼーションの4つのエリアに目を向けてください。各エリアにちょっと変化を加えるだけでも、腸には大きな影響があります」

では、腸が不健康になる原因はなんだろう? 抗生物質をはじめとする処方薬や、加工度の高い食品、アルコール、タバコや人工甘味料といったものは、腸のトラブルを引き起こす。腸が機能不全に陥ったら、プロバイオティクスを摂取するのが良策。健康な腸のパワーをさらに引き出したいときは、毎日7色の野菜を摂るのがよいとチャテジーは言う。野菜に含まれる食物繊維が、腸内細菌のエサになるからだ。また、定期的な運動も、腸の効率的なはたらきを助けてくれる。

世界各国の「腸活」Tips。

Photo: Anna Ivanova/ 123RF

世界には、長い歴史に育まれてきた豊かな食文化がある。とくに古くから身体にいいとされる料理には、必ず理由がある。そこで、腸に「効く」といわれる伝統食や美腸のための習慣を、世界の『VOGUE』エディターたちに聞き取り調査。インドや中国、ドイツ、そして日本まで、各国に伝わる美腸Tipsを紹介しよう。

インド:スパイスたっぷり、伝統料理が腸に効く!

「インドの伝統的な健康法は、どれも腸にフォーカスしている」と話すのは、インド版『Vogue』でオンライン・アシスタント・エディターを務めるリディーマ・サプレ(Ridhima Sapre)。

「インドの伝統料理では、消化にかなり気が配られるんです。例えばスパイスの使い方、調理の仕方、腸の調子が悪いときに何を食べるか、など。生きた培養菌から自家製ヨーグルトを作るのも一般的。インドでは、ヨーグルトが色々なものに姿を変えます。その一つが『チャース』。塩とスパイスが効いたスムージーで、最近また人気が復活しているわ」

ターメリックミルクといった歴史ある飲み物も、最近ではインドのみならず、欧米でも人気再燃中だ。

中国:朝一杯の塩水で腸内クレンズ。

「中国医学では、へそを中心にお腹を時計回りにマッサージすることが推奨されているの」

こう教えてくれたのは、ヴォーグ・インターナショナルのアジア担当エディター、クイニー・ヤン(Queennie Yang)。

「へその左右、指3本分(約5センチ)ほど外側にある『天枢』というツボは、押してみると本当に効果を実感する。胃腸の働きを整える効果があることで有名よ。また、指圧もよく行われている。掌側、親指の付け根にある『魚際』というツボと、手の甲側にある『合谷』(親指と人さし指の骨の分かれ目あたりにあるへこみ)を押してみて」

中国医学では、腸の状態が一番よいのは早朝(5時から7時ごろ)だと考えられているそうだ。ゆえに、「朝起きてすぐに、腸をクレンジングするために塩水を1杯飲む」のが習慣化しているそうだ。

「サンザシや小豆粥、ケツメイシを使ったハブ茶や、バーリーウォーター(大麦を煮出してつくる麦茶)のような伝統的な食事療法も効果的よ」

**ドイツ:ザワークラウトは「胃腸のお世話係」。**
「胃腸の働きを助けるドイツの伝統食といったら、ザワークラウトね」

そう教えてくれたのは、ドイツ版『VOGUE』のデジタル・ビューティー・エディター、アンナ・マーティン。ザワークラウトはカロリーも低く、ビタミンC、B、Kが豊富。胃腸に良い乳酸菌もたくさん含まれているため、ドイツでは「胃腸のお世話係」と呼ばれているらしい。

「いろいろな食べ方があるけれど、一番ヘルシーなのは、新鮮で温かい状態で食べること。ジュースとして飲んでもいいけれど、これは飲み慣れてはじめて好きになる味かも!」

**日本:発酵大国の最新注目株は「茶酵素」。**
腸のバランスを整えるために、古来から日本でよく食べられているのが発酵食品だ。『VOGUE JAPAN』のビューティーエディター、曽我ゆうはこう話す。

「日本には数多くの伝統的な発酵食があります。味噌や醤油、納豆から漬物まで、私もほぼ毎日食べています」

また、 美容のエキスパートたちは甘酒も愛飲している模様。さらに最近のトレンドは、発酵植物エキスと茶葉を混ぜ合わせた「茶酵素」。韓国発祥のコンブチャにもよく似ているが、コンブチャよりも「ずっと飲みやすくて美味しい」そうだ。

Text: Emma Strenner Translation: Asuka Kawanabe