米選挙、先住民女性の初当選に見る大きな変化

先住民が市民権を得てほぼ100年、ようやくの快挙

2018.11.09
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ギャラリー:先住民女性として初当選したデブ・ハーランド氏 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:先住民女性として初当選したデブ・ハーランド氏 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)
国道66号線に立つデブ・ハーランド氏。選挙事務所のあるニューメキシコ州アルバカーキ、ノブヒル地区で撮影。ハーランド氏は約65人の先住民女性とともに、2018年の中間選挙に出馬。連邦議会初の先住民女性議員の一人となった。(PHOTOGRAPH BY DANIELLA ZALCMAN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 2018年の米中間選挙で起きた歴史的な出来事の一つは、連邦議会で初めて先住民女性議員が誕生したことだろう。

 元ニューメキシコ州民主党会長でラグナ・プエブロ族のデブ・ハーランド氏が当選したほか、カンザス州でもホーチャンク族の弁護士シャリス・デービッズ氏が共和党のケビン・ヨーダー下院議員を破った。

 ネイティブアメリカンの人々についてのニュースを扱うオンラインニュースサイト「Indian Country Today」の編集者マーク・トラハント氏は、2人の勝利が歴史に与える影響について、どれだけ大げさな言葉を並べても言い足りないと話す。1789年以降に誕生した連邦議員約1万2000人のうち、先住民の血を引く議員は300人ほどだが、その中に女性は一人も含まれていなかった。

「国民の代表たちの議論の中に、アメリカ先住民がいなくてはなりません。その重要性を、先住民のコミュニティーは理解するでしょう」

 2018年の中間選挙は女性たちにとっても歴史的な選挙となった。下院選挙では、新人31人、現職65人、合計で96人の女性議員が生まれた。ミシガン州とミネソタ州では、史上初のムスリム女性議員が誕生した。民主党のラシダ・タリーブ氏、民主農民労働党のイルハン・オマル氏だ。(参考記事:「目を見張る広がりと多彩さ、米国のイスラム教徒たち 写真10点」

【動画】米連邦議会初の先住民女性議員の一人となったデブ・ハーランド氏の軌跡(解説は英語です)

 こうした劇的な選挙結果の背景には、セクシャルハラスメント問題や女性の声を抑え込んできた権力構造について、全米が再考を迫られているということがある。「#MeToo」運動から連邦裁判所判事ブレット・カバノー氏の公聴会まで、怒りが政界における女性の台頭を後押しした。

 デービッズ氏は弁護士であるだけでなく、同性愛者であること、格闘家であることを公言している。今回の選挙では、LGBTQの候補者も複数当選した。コロラド州では、民主党のジャレッド・ポリス下院議員が、同性愛者であることを公表している初めての知事となった。また、オレゴン州ではケイト・ブラウン氏が知事選に再選した。(参考記事:「曖昧になる男女の境界」

次ページ:歴史的な快挙

ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の
会員*のみ、ご利用いただけます。

会員* はログイン

*会員:年間購読、電子版月ぎめ、
 日経読者割引サービスをご利用中の方、ならびにWeb無料会員になります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加