ノルウェーの首都オスロからさほど離れていない場所に、バイキング船が埋められていることがわかった。全長20メートルほどのこの船は、1000年以上前にバイキングの王または女王の墓として使われたと考えられている。これまで見つかったバイキング船を使った墓としては、最大級のものになる。(参考記事:「北欧バイキングの死装束にアラビア文字見つかる」)
専門家によると、この規模のバイキング船の墓が無傷のまま見つかるのは珍しいという。オスロの文化歴史博物館でバイキング船の学芸員を務める考古学者ヤン・ビル氏は、「100年に一度の大発見です。考古学的にすばらしい発見です」と話す。
船が見つかった埋葬塚は、地元のランドマークとしてよく知られている。高さは9メートルほどあり、スウェーデンとの国境のすぐ北を走るハイウェイからも見ることができる。だが、まわりにあった考古学的遺物は、19世紀後半の農業開発で、すべて破壊されてしまったものと考えられていた。
ところが2018年春、この塚のあるエストフォル県の担当者が、ノルウェー文化財研究所の専門家に、大型地中探査レーダーを使った調査を依頼。塚のまわりの農地4万平方メートルの地中を探査した。(参考記事:「当局発表:ツタンカーメンの隠し部屋はなかった」)
探査の結果、10個の大きな墓があることがわかり、地表からわずか50センチほどの場所に船が埋められていることがわかった。ノルウェー文化財研究所の考古学局長で、先日行われた塚の調査の指揮をとったクヌート・パーシェ氏は、船の長さは少なくとも20メートルほどはあると見積もっている。レーダー探査の画像には、竜骨や船体前方にある何枚かの外板がはっきりと映っており、保存状態は良好と見ている。
船はどこからやって来たのか? バイキング時代のどこかで、オスロ近くのフィヨルドから船を地上に引き揚げ、現在の地まで運んだと考えられている。パーシェ氏によれば、「このような船が棺として使われたのです。王や女王、または地元の有力者が埋葬されていたのでしょう」と話す。つまり地中の船は、権力者の埋葬の場所として使われたのだ。
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