アジア最大級の望遠鏡「せいめい望遠鏡」が完成し、記者会見を行いました。

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理学研究科附属天文台と宇宙物理学教室が、岡山県南西部の浅口市と矢掛町にまたがる竹林寺山系に開発・建設を進めてきました岡山天文台の口径3.8mせいめい望遠鏡が完成し、岡山天文台せいめい望遠鏡ドーム内で完成記者発表を2018年8月17日に行いました。

せいめい望遠鏡には三つの特徴があります。一つ目は「分割鏡」です。天体の光を集める主鏡に日本初となる分割鏡を採用しました。分割鏡は小さな鏡を何枚も組み合わせて1枚の大きな鏡として機能させる技術で、一般的には六角形の鏡を使いますが、せいめい望遠鏡では光学性能が高い扇形の分割鏡を世界で初めて採用しました。

二つ目は「超高精度研削加工」です。大型望遠鏡の主鏡製作では、これまで長い時間をかけてガラス材を研磨していましたが、同望遠鏡の分割鏡では、超高精度な研削加工を取り入れることで研磨に必要な時間を大幅に短縮することに成功しました。

三つ目は「軽量架台」です。素早く目標天体に向けるために軽量で丈夫な構造を採用しました。鏡を真下から支える円弧状のレールの採用や、空間建築に使われるトラス構造を取り入れ、遺伝的アルゴリズムを用いて設計を最適化することで大幅な軽量化を実現しました。

せいめい望遠鏡の開発は重要な研究テーマであり、これら三つの特徴は独自に開発した技術となっています。

同望遠鏡は、今後高精度な調整を行い11月より共同利用観測を行う予定です。

完成した「せいめい望遠鏡」

18枚の鏡を組み合わせた主鏡