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粋なキャスケットの使い方、学んでみませんか?【ファッションプロの週間コーデ予報/三浦由美子編】

この秋トレンド入りしているキャスケット。実は密かに帽子に対する苦手意識を抱えている若手編集Nは、秋を前に克服すべくスタイリストの三浦由美子さんのもとに駆け込むことに。そこで明らかになった大人なスタイリングのポイントとは? 秋の小旅行に役立つトートバッグの着こなしハウツーもあわせてチェックして。

今季、三浦さんがイチオシのキャスケットとは?

キャスケット ¥28,000/RAG & BONE 問い合わせ先/ラグ & ボーン 表参道 03-6805-1630

編集N 秋の着こなしを先取りするならまず小物から。今年はどんなアイテムから手に入れるべきでしょうか?
三浦 一つプラスするだけでぐっと秋らしいムードになるキャスケットがおすすめです。もう少し秋が深まってきたらニットやデニムなどに合わせても。

編集N なるほど! 三浦さんのおすすめはラグ & ボーン(RAG & BONE)。シンプルでモード感あるデザインが大人向けですね。

三浦 ブラックとネイビーのシックな組み合わせにシルバーボタンを効かせたデザインに惹かれました。シンプルな着こなしにプラスするだけでぐっとスタイリッシュな印象になりますよ。

編集N 私がキャスケットを被ると、どうしても被らされている感が出てしまいコスプレみたいになってしまうのですが…。どうすれば改善できますか?

三浦 着こなしと同じぐらいヘアスタイルが重要です! ロングヘアの人はそのままかぶると野暮ったくみえがち。かといってキメキメにしてしまうと無理してる雰囲気が出てしまうので要注意。後ろでラフにまとめたりして顔まわりをすっきりさせつつ、熟れ感を出しましょう。

キャスケットで小粋なスーツスタイルにトライ。

Photo: Edward Berthelot/Getty Images

編集N ではここからはセレブのスナップをもとに着こなしのアドバイスをお願いします! カーラ・デルヴィーニュはスーツとの組み合わせで魅せてくれました。さすがの佇まいですね!

三浦 締まったウエストが素晴らしいですね。ここまで大胆な肌見せを真似するのはなかなか難しいかもしれませんが、全体のバランス感は文句なしにパーフェクト。ほどよくシャープでトレンドのロゴアイテムも効いていて…素晴らしいです。彼女のようにブリムがコンパクトなデザインは取り入れやすくておすすめですよ。編集N 私たちがこの小粋なムードを取り込むためのテクニックを教えてください!

三浦 ブラトップをタイトなトップにさえチェンジすれば、あとはそのまま真似してOK。きれいめなアイテムにキャスケットで外しを加えるというアイデアは、普段の着こなしにも応用しやすいと思います。

編集N ショートヘアとキャスケットのバランスはフレンチシックですね。このコケティッシュな雰囲気、憧れちゃいます。
三浦 メンズライクな着こなしにこそ、カーラのようにモード感のあるきっちりメイクで女っぽさをプラスして。そしてキャスケットを引き立てるためアクセサリーは潔くピアスのみ、という足し引きのバランス感も大切です。

秋のキャスケットスタイルには抜け感が不可欠。

Photo: Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images

編集N お次はドラマ「ストレンジャー・シングス」で人気急上昇中の女優、ナタリア・ダイアー。チュールのついたキャスケットは、クラシカルなレディ風で可愛いですね。

三浦 ドレスアップの外しとして使っているというのはいいアイデアですね。ただ全体的に少し重い感じがするので惜しいです。

編集N 確かにどことなく自分のものに出来ていない感じが…。その原因はなんでしょう?

三浦 まずは足もとが気になりました。ドレスからのぞいているつま先が重いですよね。これがポインテッドトゥなどであれば今っぽい抜け感が出てもっとバランスよく見えたはず。帽子もシューズも重くするとバランスが取りにくいので秋先はとくに足もとを軽くすることを意識しましょう。編集N 個人的にはキャスケットを斜めにかぶっているのも気になりました(笑)。

三浦 今っぽく見せるならあえて工夫せず、シンプルにかぶったほうがスマートですね。髪もぱさっとした質感のままおろすと野暮ったさを強調してしまうので、すっきりまとめてみても良かったのかなと思います。

大人カジュアルにこなすならメリハリをお忘れなく。

Photo: Splash/AFLO

編集N アレッサンドラ・アンブロジオは他の2人とはやや趣向の異なる赤のキャスケットをセレクトしています。

三浦 トリコロールを強調したマリンスタイルですね。配色自体は悪くないのですが赤のキャスケットはかなり難易度が高いので、全体のバランスがより重要になってきます。

編集N 確かにこのままだと帽子だけが悪目立ちしてしまいます。でもいつも黒い帽子というのも無難すぎますよね?

三浦 個人的な意見ですが、カラーものをかぶるならキャスケットよりキャップのほうが今のムードにはおすすめ。赤のキャスケットを被るならカジュアル過ぎる着こなしは避け、きれいめなアイテムを取り入れてメリハリ感を意識しましょう。 アレッサンドラの場合は、トップのシルエットやグラフィティがゆるすぎたのが残念です。

編集N なるほど! マリンスタイルとキャスケットは鉄板の組み合わせと思いきや、落とし穴もあるんですね…。

三浦 **マリンスタイルはカジュアル過多になりやすいので大人の場合はとくに注意が必要です。**ただ彼女はロングヘアのあしらいがとっても上手。ダウンヘアで楽しみたい人はぜひ参考にしてみてください。

三浦さんのキャスケットスタイルを拝見。

長年愛用しているのはギリシャのリアルフィッシャーマンキャップ。ネイビーのワントーンですがディテールが効いているのでシンプルなスタイルにも合わせやすくて重宝しています。今季は同系色のジャケットやざっくりニットを合わせてトレンドのワントーンコーデを楽しむ予定。

**気分を変えたい時はネイルやリップ、小物などに赤を足して冬のマリンスタイル風にアレンジしてみてもいいですね。**私は髪が長いので後ろでラフに結んでかぶるのが定番。顔まわりがすっきりするのでオススメですが、もし物足りなさを感じてしまう方はトレンドのフープピアスなどをプラスすると華やかなムードが出ていいと思います。

最近はメガネとの組み合わせにトライしたのですが、まだ素敵に見えるベストバランスが見つからず模索している最中です(笑)。

三浦 由美子

W所属のスタイリスト。1989年にキャリアをスタートし、数々のエディトリアルや広告で幅広く活躍、著名人のスタイリングも手がける。エッジィでありながらも洗練されたスタイリングが高い評価を受け、2017年には自身初となるスタイルブック『A SIMPLE STYLE -50歳からは10着のシンプル服でおしゃれになる-』(宝島社)を出版。

Text: Asa Takeuchi Editor: Airi Nakano