醜く歪んだ「銃弾の破片」に、その強大な破壊力を見た──写真家がとらえた12の造形

まるで小さな彫刻のように見える歪んだ金属片。実は、どれも標的に当たったあとの銃弾を撮影したものだ。その歪んだ造形は人を魅了するところがあるが、その一方で銃弾がもつ強大なエネルギーを想起させる。アーティストがとらえた12の写真を紹介しよう。
醜く歪んだ「銃弾の破片」に、その強大な破壊力を見た──写真家がとらえた12の造形

銃の引き金を引くと薬室の内部で爆発が起こり、弾は時速500マイル(時速約804km)のスピードで銃身を通り抜け、標的に向かって飛び出す。だが、標的に当たったあとの鉛の塊がどんな風に見えるかは、あまり知られていない。

その様子をギャレット・O・ハンセンは、「The Bullets」シリーズでつぶさに見せている。地元の射撃練習場で集めた使用済みの銃弾を撮影している彼は、歪んだ金属片を小さな彫刻のようだと感じている。「これらのフォルムには人を魅了する何かがあります。その正体がわかると、心穏やかではいられなくなりますが」とハンセンは言う。

ハンセンは子どものころにメイン州のサマーキャンプで、時おり22口径の銃を撃つ機会があった。だが、銃について真剣に考えたことはなかったという。

ところが、ケンタッキー大学で写真を教えるために2013年にレキシントンへ引っ越したことで、銃について考える機会が増えた。週末になると、近所の住民たちは狩猟に出かけた。芸術学部の仲間の教師たちは、射撃練習場で射撃を楽しんでいた。

ケンタッキー州生まれの共和党議員で、当時米上院の少数党院内総務だったミッチ・マコーネルは14年、保守政治活動会議(CPAC)の会場にライフルを持ち込み、舞台で誇示したことが話題になった。「こうしたことにはとても驚きました」とハンセンは語る。

「歪んだ形」が示しているもの

それからハンセンは、射撃についてのあらゆる側面を調べようと決めた。ハンセンは射撃練習所の的や、銃弾が貫通したあとのを写真に撮り始めた。16年からは、大量の紙に穴を空けた銃弾を取り出すようになり、その歪んだ形に気づいた。

ハンセンはこう語る。「銃が実際に何をしているのかに目を向けたかったのです。例えば、『こんなものが生じる』『ほかのモノに対してこんなことをする』というように」

地元の射撃練習場が100発ほどの使用済み銃弾をハンセンに提供してくれた。ハンセンはひとつひとつの弾を回しながら念入りに調べ、最も面白い形に見える角度を探した。

三脚に載せたキヤノンの「EOS 5Ds」から1フィート(約30cm)ほどの距離で、黒い幕を張った前に釘を立て、そこに銃弾を乗せる。蛍光灯を照明として使い、小さな紙を反射板にする。ひとつにつき25枚ほど撮影し、そのたびに銃弾のほうへと焦点を少しずつ変えていく。撮影後は焦点合成ソフトを使って、すべての画像をひとつの明確な画像にする。

断片はどれもねじれていて、それが銃弾だとはわからないこともある。その形は、銃弾がもつ強大な力を思い出させるものだ。

TEXT BY LAURA MALLONEE

TRANSLATION BY SATOMI FUJIWARA/GALILEO