軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

必要最小限度とは?

報道によれば、≪自民党憲法改正推進本部(細田博之本部長)は19日、憲法9条の改正案に関し、自衛隊の定義として書き込む予定にしていた「必要最小限度の実力組織」という文言を削除する方向で調整に入った≫という。
この国の国防論は、周回遅れでしかも進んでいないことがわかる。


昨日の産経は≪尖閣諸島沖縄県石垣市)がある東シナ海などで監視活動を行う中国海警局が、人民武装警察部隊(武警)に編入され、軍の指揮下に置かれる。中国海警局は日本の海上保安庁を念頭に発足した組織で、これまで国務院(政府)の管理下にあった。一方、武警は最高軍事機関である中央軍事委員会の指揮下にあり、海警は軍事組織として明確に位置づけられることになる≫と報じたが、半島でも台湾海峡でも、尖閣周辺でもそろそろ“有事”が勃発しようというにもかかわらず、何とものんびりしたものだ!…


其の昔、防衛力整備でF15戦闘機を装備するのに「必要最初限度」という枠に縛られ、必要機数の算定で苦労したことがあった。何しろ「勝ってはいけないが、負けてもいけない」というのだから、算定が困難なのだ。


今話題になっている財務省は当時「大蔵省」と言ったが、何せ高価なこともあり、なぜ220機も必要なのですか?という主査の質問はなかなか論破できず苦労したものだ。
何機あれば“絶対負けない”のか、それは相手の出方にかかっているのだから、当時のソ連沿海州周辺に展開している作戦機数2000機を対象に条件を課して脅威を算定するのだが、その条件(侵攻予想見積もり)によって大きく変化するのは当然だからだ。
「可もなく不可もない」予算枠内で決着しなければならないので、私は「必要最小限」という言葉を乱用する政治家と官僚たちは「ある晴れ渡った土砂ぶりの日に、白く塗られた赤い車が、角ばった丸い車体を躍らせて、曲がりくねったまっすぐな道を、後ろへ後ろへと前進して言った」というよう名文士だ!と揶揄したものだ。
理工科系の私の頭では、どうとでも解釈できる彼らの「文章」は全く理解できなかったからだ。
あれから40年余り、防衛力整備の実態は推して知るべきだろう。


処でトランプ大統領は“重大な会談”を前に国務長官を斬ったり、補佐官が辞職するなど、政権内の陣容に変化が起きているようだが、しかし彼はやることはやっているように見える。
鉄鋼の関税、対中国強硬姿勢など、今までの政権がタブー視してきて成果を挙げなかった分野に精力的に切り込んでいるように見えるからだ。


わがメディアは、そこに“素人くささ”を感じるらしく評価は低いが、政治は結果である。米国民に支持されているのだから文句は言えまい。
どうも、彼は今までの「大きな政府」を「小さくても効率がいい政府」に切り替えようとタブーに挑戦しているのではないか?と思う。
政権内で自由な意見を吐くのはいいが、いざという時に結論が出ないような「船頭」がいては船は山に登らざるを得なくなるからだ。トランプ大統領はそれを好むまい。


間もなく半島では南北首脳会談が、そして米韓軍事演習が、その後に、米朝首脳会談が予定されている。
あれほど用心深い“北の首脳”が唯々諾々と海外に出張するとは思えないが、VXガス予防剤でも持っていくのだろうか?

「話し合い」を評価しないわけではないが、会談が決裂した場合、間違いなく“険悪な状況”が生じるという事を忘れてはなるまい。
その場合、一番大きな影響を受けるのは韓国であり、わが日本である。国会議員諸侯よ、その覚悟は十分か?


そんな中、わが国会では「森友文書改竄」問題で行き詰っている。もとよりそれを望んでいるのはこの問題に“深くかかわっている”野党の議員たちであり、最後に自分で自分の首を絞める結果になるのじゃないか?
安倍政権を“駆逐”した後、彼らにはどんなビジョンがあるというのか聞かせてほしいものだ。多分、米朝首脳会談後よりもお粗末な結果になろう!


「森友」問題は「原点」に戻ってみればすぐわかることだ。
勿論公文書を官僚が改ざんすることは許されないが、改ざんした理由は「首相夫人の影響があったのかなかったのか?」ではなく、もっと根が深いところからの複雑な問題があり、それを≪特殊な問題≫と書いたのではないのか?


私は北九州の部隊で防衛、警備幕僚を経験したが、報道とは全く別次元の“根深い”問題で、地方自治体が圧力を受けている実態をよく見て来た。それは特にごみ収集とその不法投棄にまつわる“圧力団体”の存在である。


産経新聞西部版のコラム【浪速風】は17日「森友文書改竄 桜吹雪はすべてお見通しだ」と題して意味深長なコラムを書いた。森友学園問題の地元である。


≪東京・霞が関財務省。「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書の書き換えを認める方針を固めたという
 組織的に文書を書き換える。責任者はお白州で開き直る。時代劇に出てくる典型的な悪徳商人のようではないか。森友学園文書の改竄で、当時財務省理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が証人喚問される見通しとなった。お白州ならぬ国会で事実を洗いざらい明らかにせよ ▼国民はもううんざりしているのではないか。北朝鮮問題、憲法改正と国政の重要課題は山のようにある。改竄で安倍晋三政権への信頼が揺らいでいる。すみやかに事実を明らかにし責任を取るべき者は取って、一日も早くまともな国会に戻さねばならない。このていたらくを喜んでいるのは北朝鮮の指導者だろう ▼日一日と春らしさは増しているのに、この国の政治の低劣さのせいで浮かれた気分にはなれない。時期は少し早いが、桜の彫り物を入れた町奉行がお白州で悪事をあばく人気時代劇「遠山の金さん」ふうに、嘘は決して許されないといっておきたい。桜吹雪はすべてお見通しだ≫


同じく17日、朝日デジタルも、
≪学校法人・森友学園大阪市)への国有地売却問題で、焦点になってきた地中のごみに関する財務省の2ページ分の文書が、改ざんの際にすべて削除されていた。文書には、ごみを理由に値引いて学園に土地を売ることになった経緯などが記されていた。削除された当時、野党が国会でごみの積算方法について追及を強めていた。
 昨年2月の大幅値引き問題の発覚後、売却額が適正だったかが国会で議論されてきたが、この文書を踏まえた審議ができなかったことになる。19日の参院予算委員会の集中審議でも問題になる可能性がある(以下略)≫と報じ、


一方、19日の読売電子版は、「特別な取引を意識?森友文書、書き換え前も異例」として、
≪学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書を財務省が書き換えていた問題を巡り、書き換え前の文書が決裁文書として極めて異例の内容だったことに驚きが広がっている。
 近畿財務局の担当者が学園との取引が特別な内容だったことを強く意識していた可能性がある。(以下略)≫
と報じたが、「異例の内容」「取引が特別」とは「政治家らの関与」だけではなく、戦後タブー視されてきた深い問題が横たわっているように思える。それを「隠そうとした」担当者が自殺したことからもそれは推定できる。


この地方に住む方からのメールによれば、
≪「森友」問題の本質は「●和」問題です。かつて●和地域だったあの辺りの土地を普通の値段で買う人はいません。
国としてはそういったいわくつきの土地を買ってもらうため、「ゴミ撤去」を名目に大幅な値引きを行なったのです。瑞穂の国記念小学院隣の野田公園などの土地も今回同様に大幅な値引き価格で取引されています・・・≫とある。

そういえばこれを国会で追及している方々も、土地取引に何らかの関係があった方々だというし、朝日新聞社自体が其の昔、築地の本社建設に伴って、国から1等地を“分譲された”経緯があったはずだが、そういえば、豊洲市場にもそんな問題があった…。ただ、豊洲の場合は、民間企業から東京都が“破格の値段”で購入した逆バージョンものだったが…。


いやはや狭い国土を高く売りつけたり、破格の値段で取引する役所など、決裁文書改竄よりもそのような税金を基にした「闇取引の実態」を、どなたか書いてベストセラーにしてくれないかな〜?と思う。


産経新聞西部版のコラム【浪速風】子が懸念したように、この体たらくを喜んでいるのは北朝鮮であり、それに貢献しているのが、野党の皆さんだ、という事になる。
有事を予感している国民は、そんな極楽とんぼたちに付き合ってはいられないのだ。
国会議員は国の将来を見据えて、いつまでも【曲がりくねったまっすぐな道】的議論と党益追求するのをやめて、国益追求のため“建設的”議論にまい進してほしいものだ。


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「航空情報5月号」
今月号は「航空自衛隊2018」が目を引く。新鋭機のF−35初号機が三沢基地に配備された節目を飾るにふさわしい。
他には香田元自衛官隊司令官による「考える自衛隊の姿」が興味深い。元海将が考える「将来戦闘機」構想も、出自が陸であれ海であれ、個人的な防衛論が世に出ることは、隔世の感がある。後輩たちが論客として育っていることは大いに勇気づけられる。


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