LIFESTYLE / Travel

トラッドな魅力のリゾート地・那須高原で、自然とアートの融合を体験。

世界各地の自然を感じる旅・第3回は、日本を代表するロイヤルリゾート、那須高原から。今なお魅力溢れる豊かな自然を、アクティビティやアートを通して体感する。

ロイヤルリゾート、那須高原で自然を満喫。

昨年、約30年の歴史に幕を閉じた「二期倶楽部」のエスプリを受け継ぐ。
木立の中に佇む静かなリゾートは長期滞在がおすすめ。

雄大な那須連山の麓に広がる那須高原は、古くから那須温泉郷として知られ、1926年には皇室の別荘である那須御用邸も建てられた日本有数のリゾート地だ。春のレンゲツツジや夏の森林の緑、秋のリンドウや紅葉、冬の雪景色と、四季折々の姿が人々を惹きつける。

その美しい自然に囲まれた那須山麓・横沢の地に、日本のスモールラグジュアリーホテルの先駆けとして開業して以来30年、昨年惜しまれつつその歴史に幕を閉じたのが「二期倶楽部」。そして、そのエスプリを受け継ぐのが、二期倶楽部に隣接する「アートビオトープ那須」だ。静かな時間がゆっくりと流れる豊かな自然の中で、カジュアルで居心地のよいステイと“アートレジデンス”をコンセプトにした本格的なアート体験を提供している。

若手アーティストの指導で本格アート体験。

天井や壁、家具、すべて白を基調とした客室は、清々しい高原の宿にふさわしい。
ガラスと陶芸のスタジオは本格的な設備を備え、専門のスタッフが指導する。
カフェに併設されたギャラリーでは定期的に企画展を開催。

緑に包まれたアートビオトープ那須は、コンクリート打ちっ放しのモダンな外観。室内は、白を基調にしたミニマルなインテリアでとても居心地がいい。高原の木立に面したレジデンス棟の客室にはミニキッチンがあり、長期滞在にも便利だ。

館内にはガラスと陶芸のスタジオがあり、本格的なアート制作が体験できる。若手作家を支援する「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」という活動を行っているほか、作家として活動中の若きアーティストたちがスタッフとして工房に常駐している。彼らの手ほどきによって自分だけのオリジナル作品作りにチャレンジできる。カフェに併設されたギャラリーでは、AIRで滞在中のアーティストや第一線で活躍する現代工芸作家たちの企画展が随時開催されていて、気に入った作品を購入することも可能だ。

那須の自然を五感で楽しむアウトドアアクティビティ。

イタリアのスポーツバイクの名門「コルナゴ」をレンタルして本格サイクリング。
新鮮な食材を使った朝食ビュッフェがゲストに好評。

那須の自然をフルに体感したいなら、早朝にスタートして周囲の森を巡るガイドツアーへ。澄んだ山の空気を胸いっぱいに吸いながら、美しい声でさえずる小鳥たちや木々の間に見え隠れするキュートな小動物に心から癒される。たっぷりと森林散策を満喫した後のお楽しみは、中庭に面したカフェでのとびきり美味しいブレックファースト。生産者と生産工程にこだわり抜いたオーガニック野菜やフルーツをふんだんに使ったメニューが揃う。

午後は高原の風をダイレクトに感じられるサイクリングがおすすめ。人気コースは、昔からの農家や旧奥州街道の宿場街、城跡などを巡る「那須里山ファームライド」だ。地元のガイドの案内で、古民家が点在する農村風景の中を走る。途中で自転車を停めて野菜の収穫などを手伝う簡単な農業体験や、農家にお邪魔しての手作りランチなど、内容も充実している。

この夏、新たなファームガーデンが誕生。

石上純也が設計を担当した「水庭」のイメージビジュアル。今年6月に完成予定だ。
高原を流れる清らかな水は「ボタニカルファームガーデン」のインスピレーションの源。

「アートビオトープ那須」をベースにした「ボタニカルガーデン アートビオトープ」という新しいプロジェクトも昨年からスタート。現在、ボタニカルガーデン、レストラン、コテージなどの建設が進んでいる。第一弾として今年6月に"庭"という思索的で現代的なテーマを取り上げた、これまでにないファームガーデン「水庭」がオープンする。

デザインは、2009年日本建築学会賞、2010年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞と、数々の受賞歴を誇る新進気鋭の建築家・石上純也が担当。パリのカルティエ財団が単独の建築家を取り上げるものとしては、日本人初の展覧会が3月30日から6月10日まで開催されることもあり、世界的にも注目されている。

アートビオトープ那須
栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-3
Tel./0287-78-7833
料金/1人1泊(朝食付)15,700円~
http://artbiotop.jp

Text: Yuka Kumano