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セラ・マーリーに密着。DIOR 2018AWでのビューティーダイアリー。

ディオールのショー当日、セラ・マーリーを追った。この驚くべき記録を見れば母親のローリン・ヒルさえもノック・アウトされるはず!

セラ・マーリーがファッションシーンに登場するようになって約2年前。初登場から今までの歩みは、まるでランウェイのように華やかなものであったことは間違いない。身長160cmと小柄ながら、既にカルバン・クラインシャネルイージーといったブランドのランウェイをこなしてきたセラ・マーリーは、母親は歌手のローリン・ヒル、父親は元アメリカンフットボール選手のローハン・マーリー、レゲエアーティストとして有名なボブ・マーリーは父方の祖父にあたる。そのセラの個性は、会場を埋め尽くす大人たちが大声援を送るほど。その理由は簡単。レザー製のキャスケット、高く結い上げたヘアスタイルに加え、グレース・ジョーンズのような先駆者的なアーティストを美とスタイルのインスピレーションとして挙げているからだ。

最近のセラは、血筋からくる深いハスキーな声でミュージシャンとしても芽を出し、またハイチの子供たちにコンピューター教室を提供したり、性教育を行ったりするエデン姉妹の活動をサポートするなど、社会運動家としても活躍している。そのセラが、観客の視線を独り占めにするような強烈な黒い口紅と、ローリン・ヒルのアルバム『Miseducation』を連想させるような髪型で、ファッションシーンに戻ってきた。

先日パリで行われたディオールによる2018-19年秋冬のファッションショーで、セレブの一員としてフロントローの最前列に登場したセラは、チェックのジャンプスーツを身にまとい、白いシュシュでとめられたポニーテールを、重力に反するかのように高く結い上げていた。加えて、ネオンブルーのブレイズも、メークアップアーティストのダニエル・マーティンによるボリューミーなリップメイクによく似あっている。ライラック色の丸みを帯びたシェイプのネイルと輝くような素肌(「セラの美しい肌にはファンデーションは必要ない」とマーティンは言う)が柔らかさを添え、彼女のスタイルを引き立てている。他の要素もトータルで「準備は完璧!」と叫んでいるようだ。

ここからは、セラの様子を追ったビューティー・ダイアリーを通して舞台裏を見てみよう。

「ディオールショウ ブロウ スタイラーのユニバーサル ブラウンを使って、セラの美しい眉を整える。午前中はヘアアーティストのアン・コー・トランと共に、楽しくショーのためにセラの準備をした」と、メークアップのアーティストのダニエル・マーティン。

「ひどく冷え込んでいたショーの当日。雪が降っていたので、窓からパリの雪を眺めていた。パリはかなり寒いが、とても不思議な魔法の世界にいるようだ」とマーティンは言う。

「このルックが、2018-19年秋冬ファッションウィークでのショーでセラが着るために準備されたもの」(マーティン)

マーティンによると「カオスのような混乱に満ちたショーが始まるまでの時間、室内をとても静かな雰囲気にしてくれる落ち着いた音楽を聞いて、リラックスした時間を過ごした」のだそう。

バックステージにてピーター・フィリップスとともに。

from VOGUE.COM

Photos: Alexandra Utzmann Text: Kate Branch