中国、安徽省の水上太陽光発電所。
Sungrow
- 中国の安徽省にある炭鉱跡地に、大規模な水上太陽光発電所が建設された。さらに大きなものも、2018年5月までに全体が完成する予定だ。
- 大気汚染関連死をめぐる懸念の高まりを受け、中国は再生可能エネルギーへの投資をさらに増やそうとしている。
- この新たな太陽光発電所の登場は、化石燃料エネルギーからの転換という国際的な動きの一環といえよう。
中国は世界で最もひどい大気汚染問題を抱えている国の1つだ。一部の都市では、常に厚いスモッグが空を覆い、毎年何千人もの死者が出ている。
2016年の調査によると、中国の大気汚染関連死の最たる原因は、石炭の燃焼だ。調査を行った米中の研究チームは、石炭による大気汚染で2013年に36万6000人が若くして死亡したと発表した。
大気の質を改善するため、中国政府は少なくとも3600億ドル(約39兆円)をクリーンエネルギー・プロジェクトに投資し、2020年までに再生可能エネルギー関連で1300万の雇用を創出すると約束している。中国は太陽光、風力、水力といった代替エネルギーにおける世界最大の投資家の一翼を担っている。
中国の最新のメガソーラープロジェクト —— 安徽省の炭鉱跡にある巨大な水上太陽光発電所 —— は、中国をそのゴールへとさらに近づけるかもしれない。
中国の太陽光発電所で、パネルを整える作業員。
Kevin Frayer/Getty Images
2017年に稼動したこの発電所は、16万6000枚のパネルを使って、1万5000世帯に供給するのに十分な40メガワットを発電できると、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は報じている。現時点で世界最大の水上太陽光発電プロジェクトであり、最長で25年間稼動する見込みだ。
中国のエネルギー企業「サングロウ・パワー・サプライ(Sungrow Power Supply)」はこの発電所を、広大な炭鉱跡地にできた湖の上に開発した。爆発によって鉱山が崩壊し、湖になったのだ。ガーディアンが指摘するとおり、湖や貯水池の上に太陽光発電所を建設することで、地元の農地や野生生物を守ることができる。水がソーラーパネルを冷やすことで、発電効率も高まる。
2017年12月には、中国長江三峡集団公司のグループ企業が建設を進める、さらに大規模な水上太陽光発電所が系統接続し、発電を開始。2018年5月までに発電所全体が完成する見込みだ。約10億元(約172億円)が投資されたこの発電所では、約9万4000世帯に供給可能な、最大で150メガワットの電力が生産されるという。
ソーラーパネルを水上に浮かべるためのフロートを運ぶ作業員。
Kevin Frayer/Getty Images
放棄された炭鉱跡地に発電所を開発するというサングロウの選択は、中国やその他世界各国における石炭などの化石燃料の緩やかな衰退を意味している。
2015年にはスウェーデンが化石燃料の使用を段階的に廃止し、太陽光、風力、スマートグリッド、よりクリーンな輸送機関への投資を強化し始めた。ニカラグアも同年、2020年までに再生可能エネルギーのシェアを53%から90%に引き上げることを約束している。中国は石炭から大きく距離を取った大国の1つで、2017年には13の省で開発中だった104の新たな石炭火力発電所の開発を取り止めた。
中国の安徽省では、石炭火力発電所や太陽光発電所近くの市場に露店と客が集まっている。
Kevin Frayer/Getty Images
アメリカの化石燃料への依存度は10年前に比べれば低下している。だが、トランプ大統領は苦戦続きの石炭産業の活性化を約束している。1月中旬には、輸入品の太陽光パネルに30%の関税を課すと発表、以降4年間で約15%にまで軽減される。トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」政策の一部である関税措置が、アメリカの太陽光産業に打撃を与える可能性がある。
今日、石炭は依然として世界の電力生産の40%以上を担っている。しかし専門家は、今後10年以内に石炭を使った火力発電がピークを迎え、衰退すると見ている。同時に、太陽光や風力といったクリーンエネルギーが石炭をしのぐほど安価になるだろう。
[原文:China’s latest energy megaproject shows that coal really is on the way out]
(翻訳:本田直子/編集:山口佳美)