【ブルーリボン賞】助演男優賞・ユースケ・サンタマリア、度肝を抜く!「役者よりいい芝居を」

スポーツ報知
演技へのこだわりも語ったユースケ・サンタマリア

 東京映画記者会(報知新聞社など在京7紙)が主催する「第60回(2017年度)ブルーリボン賞」が23日、決まった。助演男優賞は「あゝ、荒野」(岸善幸監督)と「泥棒役者」(西田征史監督)のユースケ・サンタマリア(46)が輝いた。

 「公正な審査の上ですよね? 事務所からお金出てないですよね?」。ユースケはバラエティー的に笑わせ「光栄です。ぶっちゃけ今でも実感が沸かないです」と喜んだ後、役者の顔で言う。「いつも旬な人が受賞してるのを横目で見て、オレみたいなのをスパイスがてら混ぜればいいのにって思ってたので、すごくうれしいです」

 俳優としての表彰は、2006年に映画「交渉人 真下正義」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞して以来12年ぶりだ。主演の菅田将暉(24)らをリングサイドから見守る元ボクサーのトレーナー役として静かなる熱演を見せた「あゝ、荒野」では撮影に臨む前、ミット受けの練習のために1か月半もボクシングジムに通った。「毎日、全身筋肉痛で細マッチョになりました。トレーニングハイになって。ダイエットしたい方にはオススメです。(撮影後に)『サンタマリア』って名前が入ったグローブを作ってもらいましたけど、終わったら一度も行ってないな…」

 もうひとつの対象作品「泥棒役者」では、丸山隆平(34)や市村正親(68)らとの密室劇でコミカルなセールスマン役で持ち味を発揮した。「あっちはノープランで現場に行って。ワイワイとやりました(笑)」。振り幅の大きさが魅力的な個性となり、受賞の呼び水となった。

 1994年にラテン系ロックバンド「BINGO BONGO」のボーカルとしてショービジネスの世界に入ったが、タレントとして頭角を現し、俳優としても、フジテレビ系ドラマで後に映画化された「踊る大捜査線」(97年)で真下正義という当たり役を得て以降、不思議なポジションで不思議な存在感を放つ役柄を演じ続けている。「肩書はエンターテイナー? いやカッコイイなとは思いますけど、エンターテイナーはたくさんいますよ。ジャニーズの子だって歌って踊って芝居も出来ちゃう。星野源君なんかもすごいでしょ? 僕なんて自分が面白いなんて思わないし、何もないカラッポな人間ですけど、サンタマリアのスイッチを入れた時に変身はできる。やろうとすることを具現化できるですよ。変な名前で仕事をしていて、本当のあなたはどんな人なのって言われても、語ることはないし、教えたくもないんです」

 40代後半を迎え、映画の現場が自分に合っていることを実感するようになった。「映画で同じような現場ってないし。同じチームも二度とない。打ち上げで『サヨナラ~また会いましょう~バイバーイ』って言って、もう二度と会わなかったりする。そういうの、僕は好きなんです。集団行動が苦手でバンドも解散しちゃったくらいですから」

 一度きりの出会いだからこそ、勝負する。「芝居になれば役者たちよりいい芝居をしよう、度肝抜いてやると思ってやってます。負けらんないし、どこか勝負だと思って演じているところはあります」。リング内を見つめるトレーナーのような眼光で言う。「常にいい作品に飢えてる。いつも飛びたいと思ってます。めちゃくちゃしんどいけど幸せという何とも言えない多幸感のために映画をやっているのかもしれないです。今回の賞が追い風になったらいいなと思います」

 授賞式ではどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。「よくみんな言うじゃないですか。自分の力じゃないですって。あれ、ホントなんです(笑)。ふざけるのは不謹慎だし…いや~(ビート)たけしさんくらいにならないとふざけられないですよ」

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