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2018年01月18日
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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 “現役最後のサンデーサイレンス産駒”となっていたビュレットライナーが、先の1月6日付で登録を抹消しました。

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★ビュレットライナー

 ここ1、2年、特にこの2017シーズンはいつ競走生活にピリオドを打つことになるのかとハラハラしつつ、しかし昨シーズンまで勝ち星を挙げていたこともあり、条件さえ合えばもう一度勝つシーンを見ることもできるのではないか?とも思いながら彼の走りを見ておりました。

 「ただただ長く走らせていくつもりはない。もう勝つだけの力が無いという事になれば、その時はね・・・」とはビュレットライナーを管理していた佐藤雅彦調教師が最近何度も言っていた言葉。自分もそれを何度も聞いていただけに、登録抹消という話を耳にして驚きはなく、ただ“その時が来たのか”と感じたのみでした。

 改めて佐藤雅彦調教師にお話をうかがってみました。

-ビュレットライナーの引退を決意された経緯を教えて下さい
「一番はやはり息が保たなくなった事ですね。スタートして一ハロンくらいは保つけれどそれ以上は・・・という近走。調教でも微妙な息保ちになっている。レースでもね、ちょっとでも良いところがあれば・・・と思ったけど。これで春まで休養させても大きく変わりそうな感じではなかった。
 やっぱり競走馬であれば勝つことを目的にしたい。勝たせてあげたいですから。ただ“○歳まで走らせていこう”では馬にも可哀想です。ここが潮時かなと」

-乗馬として引き取られたのは、何かのご縁があったのでしょうか?
「10歳を超えたくらいの頃から時々ね、乗馬にしたいという引き合いはあったんです。ただ、年を取ってしまうとどうしても行き場所がなくなるだろうし、自分もちょっと悩んでいた。
 そこに今回、東関東馬事専門学院さんから引き受けていただけるという話があって、馬主さんも千葉なら見に行けるからということで、それでは、と。
 これまで大きな怪我とかしていないし動きも身体も、気持ちも若いから、若い生徒を相手にしても十分やっていけるんじゃないかな」



 ビュレットライナーのこれまでを振り返ってみましょうか。

 ビュレットライナーは2004年の9月にJRA・中山競馬場でデビューしました。新馬戦こそ勝てなかったものの3戦目の未勝利戦で初勝利。その間3戦連続1番人気だったのですから期待度は高かったのでしょう。
 ちなみに2002年生まれのサンデーサイレンス産駒の“同期”はあのディープインパクトを筆頭にGI馬・重賞勝ち馬がゴロゴロとおります。
 そしてディープインパクトは種馬になって長く、ディープインパクトの産駒ですら既に種牡馬になっていますし、同期の牝馬だって産駒はおろかその仔、“孫”が競走馬になっていたりします。ビュレットライナーが現役として頑張ってきた期間がいかに長いという事か・・・。

 同馬はその後2008年にホッカイドウ競馬に移籍。2シーズンを過ごし2009年の12月に岩手にやってきます。転入初戦のB1級マイル戦では2番人気で快勝しました。

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★2009年12月12日水沢10レース 転入初戦を快勝

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★早速重賞挑戦(2010年1月11日・トウケイニセイ記念)

 岩手で初めて挑んだ重賞は10頭立て8着ではありましたが、格上挑戦の形で勝馬から1秒差なら悪くはない内容。

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★特別・姫神賞優勝(2010年7月24日)

 翌2010年のシーズンはB1級からC1級に降級したものの序盤に立て続けに3勝を挙げてB2級復帰。7月には芝1000mの特別・姫神賞を勝ちました。岩手では初の芝戦勝利・特別戦勝利。鞍上の山本聡哉騎手も自身久しぶりの特別勝ちに喜んでいたのを覚えています。

 2011年シーズンは7月にやはり芝1000mの特別・FM岩手杯を制し、秋には重賞・OROターフスプリントにも出走しました。

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★特別・FM岩手杯優勝(2011年7月9日)

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★芝重賞出走となったOROターフスプリント(2011年10月23日)

 この頃のビュレットライナーにはいろいろな騎手がまたがっています。転入初戦を勝った時の鞍上が山本聡哉騎手だったように初期は山本聡哉騎手が半ば主戦のように騎乗しており、次に村上忍騎手、菅原俊吏騎手。菅原勲騎手が騎乗したこともありますよ。
 高松亮騎手が主戦になるのは2012年シーズンに高松亮騎手が佐藤雅彦厩舎所属になってからです。

 2012年、10歳になったビュレットライナーですが引き続き意気軒昂、2012シーズンは2勝、2013年シーズンは3勝。2014年シーズン、12歳から13歳の年はなんと5勝を挙げています。
 それはクラスが下がったためでもあって、その替わりとして以前のように重賞に出走する機会もなくなったのですが、しかしこんな年齢になってもなお逃げ切り勝ちを、それもしばしば圧勝すらしてみせる彼には何度も感心させられたものです。

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★2014年6月9日、盛岡6レースでの勝利はシーズン4勝目

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★2014年11月9日の五葉山賞では6着。これが最後の芝戦出走となりました

 そして2014年頃からビュレットライナーを見る周りの目が変わっても来ました。“残り僅かなサンデーサイレンス直仔”という視点です。
 一番多い時で546頭の登録があったサンデーサイレンス産駒も2008年頃から急速に減少し、2012年には8頭、2013年には2頭になっていました。
 一頭はもちろんビュレットライナー。もう一頭は園田に在籍していたダークドーンという馬。“英国産のサンデーサイレンス産駒”という珍しい出自のダークドーンはビュレットライナーより1歳若く、2013年には勝ち星も挙げていますし2014年頃は休み無くリズム良く出走を続けてもいました。
 こうなると当然気になってくるのが“どちらが最後に勝つか”“どちらが最後まで現役を続けるか”。佐藤雅彦調教師も「どうせならビュレットライナーを“サンデー産駒最後の勝馬”“最後の現役馬”にしてあげたい」と、相手の動向を気にされておりました。

 そのブラックドーンは2015年8月以降休養に入り、最終的に2017年になって登録抹消、引退となりました。これをもってビュレットライナーが“最後のサンデーサイレンス産駒”であり、2016年になっても勝利を挙げていましたから“サンデーサイレンス産駒の最後の勝利を挙げた馬”ともなったわけです。

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★2016年5月16日 藤田菜七子騎手が騎乗。メンコもスペシャルバージョン

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★2016年6月26日水沢2レースで勝利

 2015年シーズンは1勝に留まったビュレットライナーでしたが、2016年シーズンには2勝を挙げました。そしてこの6月26日の勝利が彼にとって最後の勝利であり、そして日本におけるサンデーサイレンス産駒の最後の勝利ともなりました。

 2017年、今シーズンのビュレットライナーは4月から登場したものの勝馬に大きな差を付けられて敗れる戦いが続きました。
 逃げ馬ですから大きな差を付けられて敗れること自体は決して珍しい事ではない。ですが、かつての粘り、しぶとさを感じさせることなく失速していく姿には、どうしても“年齢”というものを思わざるを得ませんでした。

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★2017シーズンのビュレットライナー

 15歳ですものね。仕方ないのかもしれません。でも、これまでも何度もさすがにもう限界かと思わせたところから復活してきたビュレットライナーです。今回も復活してくれるのではないか?彼らしい走りをまた見せてくれるのではないか?ともどうしても思って、いや、願ってしまうのです。

 結局その願いは叶わなかったわけですが、しかし最後まで見せていたスタートダッシュの速さは、例え一瞬であっても、10歳以上若い馬よりも速い出脚は、最後までビュレットライナーらしいものでした。惜しむらくは馬場が、昨シーズンのそれくらいに脚抜きが良いものだったら、結果ももう少し異なっていたかもしれません。


 佐藤雅彦調教師のお話に戻ります。

-ビュレットライナーはどんな馬でしたか?
「扱いやすい馬でした。来た当初はレースでかかり気味に行ってみたりもしていたけど気が悪いわけではなくて。長く休んだこともないですし、普段はおとなしくて本当に扱いやすい馬でしたね」

-今改めてビュレットライナーという馬を振り返っていただくとすると
「何とかもうひとつ勝たせてあげたかったけどできなかったのは残念。だけど本当にご苦労様。よく頑張ってくれたと思います。自分たちもこの馬と一緒にやってきていろいろなことが分かった。ありがとうという気持ちです。
 馬主さんの気持ちもあったからここまでやってこれました。“いくら休養してもいい。無理に走ることだけはしないで”と馬主さんの方から言ってもらえましたから。馬主さんに恵まれたのも幸せだったのではないでしょうか」


 通算178戦、岩手では136戦。岩手在籍だけでもあしかけ10年。ビュレットライナーの競走馬としての戦いは終わりましたが、これから始まる第二の“馬生”もまた末永く幸せでありますように。

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最終更新日  2018年01月18日 23時04分42秒



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