雨晴 作家との出会いを楽しみながらとっておきの器を選ぶ。
雨の日も晴れの日も、自然に寄り添って心から寛げる暮らしを送れるようにーー。そんな思いから、名付けられたお店「雨晴」には、日本人の心に語りかけるような器、盆栽、花器がずらりと並ぶ。店内に常設されているのは、日本各地から選りすぐった30〜40人の作家たちの作品。一点一点が異なる表情を持つが、どれも日常の暮らしにすっと溶け込んでくれるような自然体な佇まいだ。
「ものが溢れる世の中だからこそ、作家の考え、表現方法、地域性をしっかりと感じられるものを選んでいる」とバイイングを行う主人、金子憲一さんは話す。作品を常設している作家の個展や企画展が月に1、2回に開催されているのもそういった理由からだ。事前にウェブサイトでチェックするのはもちろん、偶然の出会いも楽しい。
さらに別売りで購入した器を木箱に入れてもらえるのも嬉しいポイント。大切な人の笑顔を思い浮かべながら、五感を研ぎ澄ませてじっくり選んで。
Stylist’s Comment 「質感の良さを楽しめるシンプルなセレクションで、ほっこりしないところが好きです。テーブル回りのもの以外に花器なども充実していて、インテリア性も意識されているところに共感を持てます」
目で楽しむ、使って楽しむ「用の美」。
金子さんがレコメンドする年末年始の贈り物は、鋳鐵作家、岩清水久生さんによる「空間鋳造」の鉄急須。岩手南部鉄瓶の伝統を踏まえながらも、日本人ならではの遊び心が溢れている。白金色と名付けられた色味は、使い込むほどに白の隙間から覗く華やかな金色が姿を現し、経年変化を楽しむことができる。付属の木箱の表面には英語で詩や説明が手書きであしらわれた粋な演出も。
透明度、質感、色彩……ガラスの光る個性。
一見洋食器のようなガラスの器たちは、辻野剛さん率いるフレスコ(fresco)によるもの。自然に調和するような柔らかな色彩の器には、日本特有の景色「kasumi」や中国語で光を透過する石「dan」、石庭で有名な京都龍安寺の土塀の高さを表した「1.9m」といった名前が与えられ、和の意識が潜在していることがわかる。その美意識は万国共通で、日本人のみならず海外の人も好んで購入することが多いそう。わずかな個体差もなんとも愛らしく、四季を通じてついつい集めたくなってしまう。
雨晴(あまはれ)
東京都港区白金台5-5−2
Tel./03-3280-0766
営業時間/11:00〜19:30
定休日/水曜日
http://www.amahare.jp
RUNGTA 自由な審美眼でセレクトされたクラフト。
一歩足を踏み入れると、異国の路地裏に迷い込んだような空間がお出迎え。閑静な住宅街にお店を構える「RUNGTA」には、オーナー夫妻の波賀望さん&真由美さんがインドやアフリカ、ラトビア、ルーマニア、日本国内など世界各国から仕入れたクラフトや家具が所狭しに並んでいる。
旅をキーワードに、土地の文化に根付いた手仕事とストーリーのあるアイテムの数々。自ら現地を訪れ、直接作り手から話を伺い、買い付けを行なっている。「次来た時には出会えないかもしれないし、作り手もいつまで続けるかわからないので、迷ったときは買います」という言葉からは、自由でありながら確かな審美眼とこだわりが垣間見える。手仕事への感動を追い続ける二人の旅は、まだまだ終わらないようだ。
Stylist’s Comment 「オリジナルの素焼きのテラコッタの鉢を仕事で活用させてもらっていて、密かにお店をチェックしています。オーナーのアンテナに引っかかったものを取り入れているように感じ、ミックスされたセンスのいい空気感にワクワクさせられます」
ため息が出るほど繊細で愛らしいポーチ。
可憐な形から不思議な形まで、無条件に乙女心をくすぐる小花柄の小物入れはインドからお届け。ある時一目惚れし、3年かけて作り手に出会えたというものは、すべての工程が手仕事。丁寧に木版プリント、そして隅々まで裁縫された美しい仕上がりには思わずため息をついてしまうほど。ファッションとして持って出掛けたり、大切なものを収納するポーチとして飾りたい。
インド地方で生まれる貴重な手仕事。
インドのカッチ地方で作られている色鮮やかなラグは、ホリデーシーズンの特別なギフトとしてもぴったり。経済成長が進みつづけているインドでは生産率が少ない手仕事の職業がぐんと減り、現在このラグの織り手はたった一人にまで減ってしまったそう。模様が細かく、完成するまでの労力や時間を想像すればするほど、そのもの自体に愛着が増していく。
RUNGTA(ルンタ)
東京都世田谷区経堂5丁目31−6
Tel./03-6413-7421
営業時間/11:00〜19:00
定休日/水曜日
http://rungta.jp
LT Shop リトアニアの工芸品が寄り添う暮らし。
ヨーロッパ北東部に位置し、豊かな自然と中世からの古い街並みを持つ小さな美しい国、リトアニア。日本人にとってはあまり馴染みのない国だが、築50年ほどのヴィンテージマンションの一室にある「LT Shop」の小さな空間では、リトアニアで作られた道具や服だけが紹介されている。
リトアニアの魅力のひとつがクラフトである。それぞれの家庭に丁寧な手仕事があり、木のキッチンツールやカゴ、手編みのミトンやソックスなど素朴な表情や意匠は、どれも親しみを覚える。
ただ可愛いという感情で終わらないよう、男女ともにフラットに受け入れられるようなセレクトを心がけていると話す店主の松田沙織さん。買い付けのために年に3回ほど現地を訪れ、約1カ月間滞在するそうだ。現地の人と同じように暮らしの中で道具を使うことで、ものの魅力を体で感じることができるという。彼女の深く純粋なリトアニアへの愛を触れたら、行ったことがない人でもリトアニアを知ったような気分になってしまうかも?
Stylist's Comment 「なかなか馴染みのないリトアニアのクラフトや洋服、アクセサリーなどが並び、お店に入るとその世界観に魅了されます。日本のクラフトなどにもスッと溶け込みそうなやさしいセレクトが素敵です」
アイデア次第で使い方自由な木のコースター。
ホリデーシーズン特に人気なのが、繊細なモチーフが切り抜かれた木製のコースター。レーザーカットと手仕事によって作られる透かし彫りは、プラスティックや金属と違い、温もりある優しい質感が魅力。テーブルウェアとしてはもちろん、オーナメーントとして吊るすことで影を楽しんでもいい。数種類の中から、あれこれ組み合わせを考えるのも、心残るギフト選びになるはず。
カラフルでポップなカゴを小物入れに。
オープン当初から仕入れ、お店にとっても思い入れのあるベリー摘みのためのカラフルなカゴ。ベリーが潰れて汁がついても拭き取りやすいようと電話線で編まれ、なんともチャーミングなルックス。玄関口で鍵を保管したり、ベッドサイドにアクセサリーや大切なものを入れたり、使い方はさまざま。心踊る色合いはギフトとしてもふさわしい。
LT shop(エルティー ショップ)
東京都渋谷区神宮前3丁目38−11
Tel./03-3401-0302
営業時間/15:00〜20:00
定休日/水曜日、木曜日
http://www.ltshop.net
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Photos: Koutarou Washizaki Editor: Maki Saijo