軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

北朝鮮をテロ支援国家に再指定

中国が、習近平の特使を北朝鮮に派遣したが、全くと言ってよいほど効果はなかった。
特使を迎える北の要人たちの表情もさえず、当初から、金正恩が問題にしていないことをうかがわせた。
これでトランプ大統領の腹は決まったようなものだ。一番の当事者である韓国は、全くと言っていいほどピントがずれていたし、北の脅威を真剣に感じていないとトランプには映った。
中国の態度も煮え切らなかった。習近平は“しぶしぶ”特使を派遣したが、これまた当初から成功を信じてはいなかったと思われる。
つまり、韓国も、中国も、アジアを初訪問したトランプ大統領の気迫に押されて、とりあえずの動きを示して取り繕ったに過ぎなかった。
勿論両国が「何らかの効果的行動をとる」などトランプ大統領は期待していなかったはずである。


1994年6月にカーター元大統領が訪朝して、金日成と会談。1994年10月には米朝枠組み合意が成立し、
1.北朝鮮黒鉛減速炉および関連施設を軽水炉に転換する。このために国際事業体を組織し、2003年までに軽水炉2機(発電容量約2000メガワット)を建設する。
2.米国は軽水炉1号機が完成するまで、北朝鮮に対して代替エネルギー(年間50万トンの暖房・発電用重油)を供給する。
3.北朝鮮黒鉛減速炉と関連施設の建設を凍結し、最終的にはこれらを解体する。
4.米朝は国交正常化に向けて行動する。(ウィキから)
こととされたが、その後2003年8月の第1回から2007年3月の第6回まで、北の核をめぐる6者協議は北京で計9次の会合が行なわれたにもかかわらず、全く成果がないまま自然消滅した。
これで得をしたのは北朝鮮と“キム・ジョンヒル”米国務省員だけだった!と皮肉られた。


そんな愚かな協議を当時の米国政府が継続してきたことは、トランプ政権の誰もが知ってるから、ハナからロシアは計算外、韓国と中国は今回の訪問で“やはりそうだったのか”と、再確認したにすぎまい。
勿論日本も“計算外”であったろう。米国が問題にしている核に対して日本は拉致問題を重視したように見えたからである。
勿論、拉致問題は人道上許せない悪行だが、本来は当事国が先頭に立って解決すべきものであり、その努力もせずに?同盟国に丸投げするのだから、米国にとっては“余計なお仕事”“有難迷惑”だったはずだ。それもこれも責任は、国際紛争を解決するための“軍事力”を放棄してきた日本政府にある。
一部の保守人は、これは占領憲法のせいだといわんばかりだが、そんな理不尽な“憲法”を後生大事に抱えてきた日本自身の方が問題なのだ。自国同胞の救助を他人に依頼するなど、とても独立国がやる行為ではないことがわかっていないのだ


産経はトランプ大統領が「北朝鮮テロ支援国家に再指定」したことについてこう報じた。

≪【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領20日ホワイトハウスで記者団に対し、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを決めたと発表した。
 テロ支援国への再指定は今年6月、北朝鮮に拘束されていた米国人大学生、オットー・ワームビアさんが昏睡状態で解放され、米国に帰国後間もなく死亡したことなどを受けた措置。

トランプ氏は引き続き北朝鮮に最大限の圧力をかけていくことを強調。また、再指定を受けて財務省が21日、北朝鮮に対する大規模な追加制裁を発表することを明らかにした。
北朝鮮に対し、核・弾道ミサイル開発と国際テロの支援をやめるよう要求する」と語った≫


 トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げて当選した人物だ。どこの国もそうだが、最優先するのは自国国民と国益である。
 どうも我が国の政府関係者もメディアもそれがわからないらしく、トランプ大統領が日本のために何かをやってくれると勘違いしているところがある。


 今まで時間をかけて北の横暴を世界に“ジュンジュン”と語りかけ、国内反対勢力の抵抗にもめげず、北包囲網を作ってきたが、韓国と中国が頼りにならないことは織り込み済みだから、次は国際的支持を背景に、トランプ大統領が北の横暴をどう阻止するかが焦点になる。

クラウゼヴィッツは言っている。
「戦争とは政治の延長である」と。
自分の意見に従わない相手に意思を押し付けるためには「軍事力=暴力」を行使して従わせる、それが国際政治の現実なのだ。


 大相撲で揉めている“暴力事件”はその典型だ。横綱という大先輩の説教中に、彼女からのスマホに手を伸ばした、はるか下位の力士の無礼な態度に日馬富士が激怒し、手を出したのもクラウゼヴィッツの原理につながっているのだ。
我が国のメディアは、何が何でも[暴力はいけない]と絶叫するが、世界中、どこでも暴力が渦巻いていることを知らない人はいまい。自分らだって「ペンの暴力」を利用して、意志を貫こうとしているくせに!

もういい加減に偽善はやめた方がいいと思う。

フランス の哲学者で自然哲学者、思想家者でもあったパスカルも「正義が守られえないところでは、力が正義とされる」「力のない正義は無力であり、正義のない力は暴力である」と言っている。
今まさに、トランプ大統領は「力なき正義を唱えてきた」前政権に代わって、「正義無き北朝鮮体制」に対して力を行使しようとしているように見える。

パスカルはこうも言っている。
「人間は天使でもなければ獣でもない。だが不幸なことに、人間は天使のように振る舞おうと欲しながら、まるで獣のように行動する。」
日本中の有識者やリベラルメディアに聞かせたい言葉だ。
日馬富士の一件は、噂話に尾ひれをつけて先走ったメディアが「マッチポンプ」的に騒ぎに火をつけた感があるが、それでもそんな“ニュース”が売れるのだから笑いが止まらないだろう。

それにしても外には“国難”が迫り、内には大人の喧嘩や青年?悪魔?の大量殺人事件、母親?の子殺しコンクリート詰め事件など“修羅界””地獄界”が渦巻いている。

どうもこの世は長生きしてもあまりいいことはないことがわかってきた。


次号の「ジャパニズム40」では、理学博士の保江邦夫・ノートルダム清心女子大名誉教授との対談記事が掲載される。
タイトルは「UFOが日本人に教える『保守の精神』」というもので、「〜UFOの出現とそれに伴う不思議な現象は我々に何を伝えようとしているのか。その謎を紐解くと、封印された日本人本来の保守の精神と我々に託された使命が見えてくる(リードから)」というものだが、3時間以上にわたって話が弾んだものを10ページにダイジェストしたものだから、所詮無理があるが、カットされた部分の方が私には為になったと思っている…。
ストレスがたまらない話の方が、健康に良いと思うので、興味のある方はどうぞ!


届いた本のPR
==================


「航空情報30年1月号」
早いものでもう来年の1月号だ。今月は、HondaJet開発者・藤野道格氏の開発秘話と、YS-11を作った男=試行錯誤の中からの不屈の航空記述者魂を語る、鳥養鶴雄氏の回想団が秀逸である。


「報道しない自由・西村幸祐著:イースト・プレス¥1300+税」
 久々の西村氏の本である。副題の「なぜメディアは平気で嘘をつくのか」が面白い。
日馬富士事件で先走りしたメディアは、今頃徐々に修正し始めているが、本質を伝えることよりも、他社に先んじて特ネタを!というやましい功名心が災いしているように思う。
記事の事実なんぞ二の次なのだ。
「今の日本のメディアは…言い方を換えれば、一定イデオロギーの情報機関である。イデオロギーの目的に沿って5W1Hを操るのであるから、洗脳装置である。そして、左派の戦略の目的は、2017年において、明らかに『北朝鮮の脅威隠し』であり、その背後にある大きな柱は『憲法改正阻止』だった」と著者は書く。メディア論の第一人者の筆は中々鋭い。

私もこの手法で、自衛隊が蒙ってきた数々のフェイクニュースを解説してみたいものだ、と感じた。ご一読あれ!


次は第38回国防講座のPR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
演題  北朝鮮核武装に日本はどう立ち向かうべきか
 軍事評論家としてブログなどで活躍中の当会顧問・佐藤守が「国防」を熱く語る連続シリーズの第三十八回目です。米国まで届く弾道ミサイルを開発し、核実験を繰り返す北朝鮮の脅威が、これまでになく大きなものになってきました。軍事最優先の独裁者・金正恩が核弾頭と大陸間弾道ミサイルを手に入れるという悪夢が実現することで、朝鮮半島と日米同盟の行方は・・・。そして、我々は祖国日本を守ることができるのでしょうか。今回の国防講座では、北朝鮮の核開発・ミサイル開発の経緯や現在の戦力、今日にいたる米国・日本・韓国の歴代政権のこれらへの対応などについて分かりやすく解説し、今後、日本がとるべき国防政策などについて、皆さまとともに考えてみたいと思います。脱線転覆を交え、大人気の佐藤節が唸ります。どうぞご期待下さい〜とあるが、既に北に関する情報はあふれているから、講話内容は 1、北朝鮮成立時の隠された歴史
2、朝鮮戦争(隠された真実)
3、現状の問題点と見通し、程度にする予定。

日時  平成29年11月25日(土) 13:00開演(15:30終了予定)
会場  靖国会館 2階 偕行の間
会費  1,000円(会員500円、高校生以下無料)
連絡先  info@heiho-ken.sakura.ne.jp

金正日は日本人だった

金正日は日本人だった

大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

日本を守るには何が必要か

日本を守るには何が必要か