<中日1-0横浜>◇27日◇豊橋

 中日トニ・ブランコ内野手(30)が横浜戦で値千金の2号ソロをぶっ放した。4回1死走者なしで、三浦から豊橋市民球場の左翼場外に135メートル弾。1-0のまま試合は6回途中降雨コールドとなり、今季初の連勝が決まった。6回1安打無失点の山内壮馬投手(25)に、今季初勝利&プロ初完封をプレゼント。ようやく最下位を脱出した。

 雨を切り裂く特大弾だった。4回1死走者なし。ブランコは、先発三浦のスライダーをとらえ、左翼にぶっ放した。両翼93メートルと狭い豊橋市民球場の場外に消える135メートル弾。駐車場に車を置いたドライバーがヒヤリとする規格外の飛距離。バットを振り抜くと、太い右腕をどうだ!

 とばかりに突き上げた。

 「神様のおかげ。タイミング良く、完璧にとらえられた」。

 自画自賛の大アーチは、14日横浜戦(横浜)以来8試合ぶりの今季2号。久々に味わう感触だった。この試合まで打率1割7分9厘と低迷。「結果が出ず、自分にプレッシャーをかけ、それが負担にもなっていた」。打撃不振のチームの中で助っ人として、大いに責任を感じていた。

 前カードの巨人戦が延期になり再調整の時間ができると、22日には休日を返上し、自転車でナゴヤ球場に現れた。1人で100分、500スイングのマシン打撃を行うなど、必死に復調への糸口を探った。21日ヤクルト戦(神宮)の試合前練習で落合監督から受けた指導を反復した。

 「監督からは技術的なアドバイスをもらった。せっかくいいパワーを持っているんだから、と。それをうまく使う技術を教えてもらったんだ」。

 前夜はバットを折りながらも執念の2点適時打。2試合連続打点と効果はてきめん。この日は結果的に、試合を決める代名詞ともいえる特大弾。「これをきっかけに、乗っていきたいね」。笑みが戻った。

 発奮材料がある。30日にケニア夫人がドミニカ共和国から来日する予定。「幸運を運んできてくれるはずだ」。愛妻を首を長くして待つ。男は格好良くなきゃならない。凡退続きの姿など見せられない。湿っていたバットも、チームもここから上昇カーブだ。

 開始直後から雨が降り、ブランコの本塁打が飛び出す直前には雨脚が強くなった。降雨ノーゲームもちらつく状況。一刻も早く1点がほしい局面で飛び出した1発は、そのまま最下位脱出へとつながった。「まだまだ始まったばかり。もっともっといい風が、チームに吹いてくるよ」。雨にも助けられての連勝。ここから、次は追い風に乗る。【八反誠】