<中日3-2横浜>◇26日◇浜松

 まさにどん底からの巻き返しだ。中日の2番井端弘和内野手(35)が先制打を含む今季初のマルチ安打でチームを勝利に導いた。待ち望んだ一打は3回。1死一、三塁で横浜高崎のスライダーにうまく反応。得意の右打ちで右前に運んだ。

 この試合までチーム打率は1割9分9厘。貧打にあえぐチームにとって3試合、24イニングぶりの得点だった。適時打に限れば実にチーム28イニングぶり。久々の価値ある一打は5番ブランコの2点適時打の呼び水となり、この回に大きな3点を挙げた。落合監督は打線について「徐々に良くなっていくでしょう。何をそんなに期待しているの?」と、慌てるなと言わんばかりだった。

 井端は8回の左前打で今季10試合目にして初マルチ。「もっともっと打って、チームに貢献したいと思います」。浮上のきっかけをつかんだ。

 本当にどん底にいた。この試合まで井端の打率は1割3分2厘。セ・リーグの規定打席到達者で最下位42位。名人芸の右打ちという武器を持つ好打者が、信じられない位置にいた。「2本目が出た。1本しか出ないのとは違う。流れというか、難しい世界の話だけれど…」。言葉にするのは難しくても、超一流にしか分からない確かな感覚はつかんだようだ。【八反誠】